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2026年03月10日

「本番」間近?

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●『陰謀論と排外主義 〜分断社会を読み解く7つの視点〜』
黒猫ドラネコ、山崎リュウキチ、藤倉善郎、選挙ウォッチャーちだい、清義明、古谷経衡、菅野完
(扶桑社新書)
https://amzn.to/4blZYw2

 2026年2月衆院選の衝撃が未だ冷めやらぬまま3月に突入してしまった。
 個人的には1995年から始まったと感じているファシズムへの流れが2011年にアクセルが踏まれ、2020年のコロナ禍と共に本格化、いよいよ最終コーナーを曲がった感がある。
 12月刊行のこの本、この度の衆院選で起こったことの大半が、あらかじめ予告されていたかのような一冊だった。
 主に2020年代以降の世相や、一般側の政治状況を、SNSでも活躍する七人の論客がそれぞれの視点で振り返るのだが、こうしてみると、やはりコロナ禍は一つのターニングポイントだったのだろう。
 そしておそらく、先の衆院選が一つのターニングポイントとして語られる日が、ほどなく来るのだろう。

 このカテゴリ教養文庫でも度々述べてきた通り、私は2022年にスタートした高校社会科歴史総合を高く評価しており、それを学ぶ今の高校生の皆さんに希望を抱いている。
 興味を持って他の高校社会科の教科書も開いてみると、近代化の過程で確立されてきた人権の考え方を元に、本当によくできている。
 人権について、ファシズムについて存分に学んだ上で、今の高校生は18歳で選挙権を得ているのだ。

 ファシズムの惨禍、人権の成立過程を歴史として追ってきた高校生の皆さんにとっても、本書は2026年のリアルタイプの政治状況を理解するための、絶好の手引きになるだろう。
posted by 九郎 at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 教養文庫 | 更新情報をチェックする

2026年01月21日

大西洋から俯瞰する国際情勢

 超大国の大統領が、公然と他国の領土の割譲を要求する狂乱の2026年の幕開けである。
 話題のグリーンランドであるが、下図のような世界地図を見慣れている日本人にはちょっとピンと来ない場合があるだろう。

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(クリックで画像拡大)

 日本人向けの世界地図なので日本が中心に来る構図にするのはまあわかる。
 この構図だとユーラシア大陸周辺と、環太平洋の位置関係は分かりやすく、その二つの環の交点たる日本の果たすべき役割も分かりやすい。
 しかしこれでは大西洋がぶった切られてしまい、「欧米」の関係性がほぼ何もみえなくなってしまうのが、大きすぎる欠点としてある。
 日々流れてくる国際社会に関する報道を理解するには、やはり世界標準の「環大西洋」の構図で認識しなければならない。

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(クリックで画像拡大)

 さらにこの度のグリーンランドの件は、NATO(北大西洋条約機構)の範囲で、その存立を揺るがす事態であるので、北極圏も含めた構図で見る必要が出てくる。

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(クリックで画像拡大)

 日本人が考えるよりずっと欧米は「ご近所」で、あちこちで領土領海を複雑に接しているのだ。
 この構図で眺めると、日本中心の世界地図では「世界の果て」だったグリーンランドがむしろ「中心地」で、経済上、軍事上の重要地点であることが一目瞭然になる。

 さらに近年、温暖化による氷の減少で、北極海が通年で航行できるようになったことを受け、脚光を浴びているのが「北極海航路」だ。
 こちらは日本にも直接大きな経済的影響を及ぼす。

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(クリックで画像拡大)

 ユーラシア大陸は真上から見ると、ベーリング海峡、マラッカ海峡、トルコで巨大な正三角形を描く。
 古くはトルコから直線で東西を結ぶ陸路のシルクロードが物流の中心。
 後に西欧と東アジアを結ぶ物流経路は、インド洋とスエズ運河を通る海路、南回り航路に代わった。
 日本とヨーロッパを結ぶ場合、北極海航路なら南回りの六割まで距離を縮められるという。
 これは日本と世界の経済の在り方を、劇的に変えてしまう可能性を持つ。
 この北極海航路においても、グリーンランドの位置は極めて重要になってくるのだ。
 
 一年半ほど世界史に関する読書を進めてきて、ようやく世界地理に関しても本格的な興味を持てるようになってきた。
posted by 九郎 at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする

2026年01月19日

書初め2026

 恒例の藁筆書初め、今年はバタバタしていてパスかなと思っていたのですが、やらないとなんとなく落ち着かず、遅めになりましたが書きました。

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 今年は「諦」の字。
 一般に何かを断念する意に使われる「あきらめる」の「諦」は、元は仏教用語で「真実」「真理」を見極める意になります。
 内外激動の世相の中、心を澄ませ諦めましょう。


 藁筆による書初めの過去作は以下に。
 2020「一揆」
 2021「叛」
 2022「筵旗」
 NO WAR 2022
 2023「蜂起」
 2024「糾」
 2025「還」
posted by 九郎 at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする

2026年01月05日

縁日草子2025→2026

 おくればせながら謹賀新年!

 こちら神仏与太話ブログ『縁日草子』、年末になんと20周年を迎えておりました!
 開設した2000年代半ばは、個人のネット活動がホームページや掲示板からブログ全盛期に移行しつつあったタイミング。
 その後2010年代に入るとTwitter等のSNSが盛り上がり、ブログ人気は低迷しつつも「短いつぶやきだけでなく、がっちり記事を書きたい/読みたい」層の受け皿として機能してきました。
 当ブログもアクセス数の浮き沈みを体感しながらしぶとく継続、記事数は1900超、平均すると週二回足らずのペースで更新してきたことになります。
 お付き合い本当にありがとうございます。

 2025年はとくに世界史や一般教養関連の書籍レビューに注力してきました。
 そもそもは日本の宗教や歴史を自分なりに探求するブログだったのですが、一介の絵描きの悲しさ、調べるほどに基礎的な教養の不足を痛感。
 人生の残り時間を考えると勉強し直すならもう今のタイミングしかないのではないかと一念発起、読み漁った戦果報告を開始しました。

 カテゴリ:教養文庫

 書き進めるうちにご縁があって、2025年末発売の歴史本レビュー誌『ぱん歴』創刊・第1号に執筆させていただけました!
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 今後も歴史や教養に関する読書レビューは続けていきます!

 同じけいこう舎では、壺井栄『妻の座』のイラストも担当させていただきました。
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 そして旧年中のもう一つのトピックと言えば、久々の文学フリマ大阪の参加でした。
 ブログ開設当初からカテゴリ:原風景を綴るうちに、故郷である播磨の歴史探求にまで行きつき、その成果をひとまず冊子にまとめて刊行しました。
 名付けて『播州パノラマ草子』!

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 こちらもまだまだネタはあるので、パート2もあり得ます(笑)


 色々おちつかない世情ですが、今年も努めて淡々と進めていきたいと思います。
posted by 九郎 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2025年12月26日

カテゴリ「教養文庫」折り返し

 この一年あまり、これまで不勉強だった世界史その他の一般教養についての読書を進め、折々レビューにまとめてきた。

 カテゴリ『教養文庫』

 きっかけとしては、昨年刊行の『ぱん歴 創刊準備0号』の刊行主旨に賛同したことが大きかった。
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 また、高校生になった子供を通して「歴史総合」という2022年の新設科目を知り、世界の近代化を横断的に学ぶその内容に感銘を受けたことがあった。

 「歴史総合」への道しるべ

 思い返せば私も高校生になって世界史を習い始めたばかりの頃、「授業でやっている地域や時代で面白そうな本があったらガンガン読んでいこう」と思い立ったものだった。
 小中で習ってきた日本史に関しては、そういう読書をやっていたおかげで、とくに勉強しなくてもそこそこ得点できていたのだが、世界史の場合なかなかそう上手くは行かなかった。
 私が高校生だった80年代はまだネットも携帯端末も存在せず、本を探すには書店か図書館に行き、自力で探し当てるしかなかったのだ。
 そしてそもそも、高1ぐらいから手にとりやすい入門書が見当たらなかった。(1979年に刊行開始した岩波ジュニア新書は100冊を超えたぐらいのタイミングで、世界史テーマの本はまださほど数が揃っていなかった)
 当初の私の目論見は早々に頓挫し、世界史には少々苦手意識を持ちながら高校生活を続けることになった。

 あれから四十年、日本の出版はピークの90年代を通り過ぎ、2000年代以降は下り坂に入りつつも、素晴らしい本は大量に刊行され続けている。
 とくに一般人や中高生を教養に誘う入門書の類は充実しまくっており、ネット情報もあるので良い本に極めてアクセスしやすくなっている。
 自分が高校生の頃にこの環境があったら、世界史に挫折せずに済んだのではないかと思うこともしばしばだ。
 ということで、この一年の記事更新の裏テーマとして、「高校生の頃の自分に向けたブックガイド」を想定してレビューを綴ってきた。

 約一年かけて楽しく学べる本を紹介してきたこの年末、嬉しいお知らせが一つある。
 縁あって『ぱん歴』の編集の方からお声がかかり、本日発売の創刊第一号に、「烏帽子九郎」名義で14ページ分ほどの拙稿を掲載していただけたのだ。

●『ぱん歴 いっぱん人のいっぱん人によるいっぱん人のための歴史お勉強本レビュー誌』創刊・第1号(けいこう舎)
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表紙に並んでいる順に、ごく簡単にではあるが各章の内容に触れておこう。

◆研究者に聞く ◆この人に聞け!
 不勉強でいずれの研究者の著作も読んだことがなかったが、この度の紹介で大いに関心を持った。
 この五年ほど美術史を勉強し直していたので、栂正行の著書タイトルを見るとどれもそそられた。
 五郎丸聖子、山脇史子の扱うテーマは、これまで私が育ち、生活してきた地域では身近に感じる。
 近代化前夜の日本を考える野口良平、キリスト教異端(とされる)カタリ派を紹介する生江双雄、ともにこれから歴史関連の読書を進める上で、必ず通るべき著作になるだろう。
◆ありがとう! 陳舜臣先生
 中国史、神戸、ともに好きなテーマで昔から興味は持ちながらまだ読めていなかった陳舜臣。掲載されている著作の背表紙を眺めるに、今すぐにでも手にとりたい本がいくつも目につく。
◆この先生を勝手に追いかけろ! 山田康弘先生の巻
 石山合戦を絵解きするという野望を抱いている私としては、戦国期の歴代足利将軍を扱った一連の著作は外せなさそう。

 そして後半、さまざまな立場から個人で歴史を考えるレビュワーのパートこそが、『ぱん歴』の本領発揮領域であろう。

◆いろいろなアメリカ
◆科学史の本がおもしろい!
◆いもづる式読書録5連発
◆わたしのこの1冊
◆ぜんぶ読みたい!吉川弘文館・歴史文化ライブラリー

 研究者やライターの方々とともに、私を含めた「いっぱん人」からの熱のこもったレビューも充実しているこの一冊、歴史好きの皆さんの来る新年からの読書の手引きとして、自信をもってお勧めできる。
 文書作成や検索における生成AIの野放図な普及、粗雑なデマによる排外主義の蔓延で急速に劣化しつつある言論に、「いっぱん人」が徒手空拳で立ち向かう反撃の狼煙である。
 この年末年始の読書のおともにも!
posted by 九郎 at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 教養文庫 | 更新情報をチェックする