
そろそろ田植えの季節になった。
子供の頃、家の周りには田んぼがたくさんあった。だから春夏秋冬、田んぼの風景とともに育ったと言って良い。
田植え前にはレンゲが咲き、カラスノエンドウが繁茂する。レンゲの花びらだけをそっと抜き取って、メシベを口に含むとほんのり甘い香りが広がる。
田植え後しばらくするとカブトエビを捕まえ、名前も知らない不思議な半透明のエビを捕まえた。畦道ではテントウムシ、バッタ。それからイトトンボ。最近全く見かけないが、あの精密で美しいムシは、今でもどこかにいるのだろうか。
田んぼの動植物は、どこか世界のミニチュアみたいな雰囲気で、眺めていてぜんぜん飽きなかった。
田んぼを眺めて育ったせいか、私の季節感は田んぼが規準になっている。
現在住んでいるのは都市部だが、何箇所か水田地帯も残っている。別に農作業とは何の関わりも無いのだが「行き着け」の田んぼがあって、勝手に眺めては和んでいる。
最近「行き着け」に出かけてみると、まだ田おこしすらしておらず、代わりにレンゲが咲き乱れていた。どうやら今年も休耕のようだ。ここ二年ほど休耕が続いている。
それはそれで季節の草花を楽しめるのでいいのだけれど、やっぱり水田も眺めたいので、他の何箇所かをチェックしておこう。