沖縄を語る上で、以下に紹介する岡本太郎の本は、どうしてもはずせない。
●「沖縄文化論―忘れられた日本」
沖縄論の古典とも言うべき必読書。中公文庫に収録されており、価格も安く入手も容易。初版の刊行は1961年であり、内容の大半は復帰前の沖縄の生々しい現地レポートだ。
名フレーズ「芸術は爆発だ!」をはじめとする、一時期のTVパフォーマンスの影響か、岡本太郎は「おかしなゲイジュツ家」の代表のようなイメージがある。しかし一度でも著作を読んでみれば、そのイメージは一変する。
岡本太郎のモノを観る視点は、限りなく知的で醒めており、表現は的確だ。生粋の日本人でありながら、日本を突き放しつつ、誰もが忘れ去ってしまった日本の古層に横たわる美を抉り出す。
縄文土器の美を世界中で最初に見出したのは岡本太郎であったし、沖縄についても戦後最初の紹介者にあたるのではないだろうか。沖縄に対する視点、分析は、とても60年代初頭に書かれたとは思えぬほどに新しい。
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