繰り返し書くが、当ブログは「神仏与太話」だ。虚実混交した神様仏様のあれこれを、思いつくままに絵と文章でカタルことを目的とする。だから基本的にはシリアスな政治ネタは扱うことは無いのだが、「基地の島」沖縄の現実は、沖縄に好意を寄せるものとして少しずつでも勉強したいと思っている。
今回は何かとお騒がせの語り手、小林よしのりの一冊を紹介したい。
●新ゴーマニズム宣言SPECIAL 沖縄論
全400ページ。
小林よしのりという個性的な語り手に賛否はあれども、渾身の一冊であることは誰もが認めることだろう。連載をこなしながら資料をあたり、現地沖縄に何度も足を運び、人と会い、縁ある土地を訪れる。はじめはリゾート気分だった沖縄に、売れっ子漫画家が「お仕事」の範囲を超えてのめりこみ、感情移入して行く様。それはそのまま作品の中に反映され、異様な迫力の「語り」が展開されている。
基地の問題を軸に、沖縄の現状や歴史・人物・信仰にいたるまで、縦横無尽に語り尽くしている。とくにコザ騒動や瀬長亀次郎については相当なページ数を割いており、読み応えがある。踏みつけられっぱなしの民衆が、ほんの一時だけでも巨大な力を持った相手に勝利するエピソードは、やっぱり理屈抜きで感動する。
本土人でありながら沖縄に首を突っ込み、多く語ってきた小林よしのりが、ふと不安を覚えてユタの女性に会いに行くラストシーンは興味深かった。ユタの女性によると、最近、霊感の強い女性が都市部に生まれるようになってきたと言う。裏づけが取れるなら面白い話だ。