2006年07月18日

結び 三面大黒

 私が「だいこくさま」に関心を持つようになったのは、仏教関係のムック本の中で「三面大黒」という変わった仏像を目にしてからだった。俵に乗ったいわゆる「だいこくさま」の左右に、毘沙門天と弁才天が合体した三面六臂の不思議な姿。比叡山の守り神とも伝えられる異様な仏尊…

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 なんだ、これは?

 どれも人気のある天部の仏尊だということは判る。力のある天部が合体すれば、より強力な呪力が生じることも判る。だが、なぜこの三体が合体しているのか、その意味が判らなかった。
 大黒天、毘沙門天、弁才天といえば、七福神の構成メンバーでもある。七福神は通俗化された現世利益の神として人気がある。しかし、七福神と三面大黒の間に関係があるのかどうかは、不明。わざわざ三神だけを抜き出す意味があるとも思えない。

 三面大黒の図像・造形的面白さが発端となって、だいこくさまのルーツを少しずつ探求するうちに、徐々に大黒天・毘沙門天・弁才天の間の関連性が理解できてきた。

 はじまりは古代インドの暴風神だった。彼は強力な力でインドの神々を吸収し、ついに破壊と創造の神・シヴァになった。あまりに巨大化した神はその属性を分散させ、眷属の神々に分け与えた。シヴァの場合は軍神・福神・女神の要素がそれぞれの流れを作った。インドから中国をはじめ様々な国の神々を吸収し、日本に至ってこの地の神とも合体した。合体のパターンは様々に思考・嗜好・試行され、見るも異様な数々の図像が生まれた。

 その壮大な実験の一つの精華が、日本における軍神の代表・毘沙門天と、福神の代表・大黒天と、女神の代表・弁才天の合体だったのではないか?
 三面大黒の背後には透明なシヴァ神が控えていて、なかなか仏教僧の説くようには悟り澄ませない、欲望にまみれた俗世でもがく衆生を、笑って見守っている…
 私は今、そのようなイメージを持っている。

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posted by 九郎 at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 大黒 | 更新情報をチェックする