2006年10月13日
つ、つ、つきよだ
あれは何年前のことだっただろうか?
季節は秋、月夜のことだった。
帰り道に川沿いの公園を通りかかった時のこと、前方にトコトコ動く影が見えた。犬よりは丸く、猫よりはかたい。
タヌキだ。
当時住んでいたのは山の麓にある都市部で、住宅地でもたまにこうした野生動物を見かけたものだ。
私がかまわず前進すると、その分タヌキはトコトコと遠ざかり、こちらを振り向く。また前進すると、またトコトコ遠ざかってから振り向く。
はじめはそのタヌキをどうこうするつもりはなかったが、そういう態度をとられると、ついついかまいたくなってきてしまう。
足を速めてタヌキに迫ってみた。
タヌキはキョロキョロしながら、公園の歩道から外れて緑の中に入り、また振り返る。
私はすっかり意地悪な気分になって、さらに追い込みをかけた。
タヌキは慌てて植え込みの中に消えていった。
軽い遊びに満足した私がふと足元に気付いてみると、そこには犬の糞がゴロゴロ転がっていた。
もしかして、ばかされた?