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2006年11月09日

極楽往生源大夫

【前口上】
 あれは確か中学生の頃、授業で使った古文の教材に、奇怪な物語が掲載されていた。
 一人の極悪人が突如として発心し、「阿弥陀仏よや、おいおい」と呼ばわりながら、西へ西へとただひたすらに歩き続ける物語。
 何故か心に引っかかり、折に触れて何度も何度も反芻するうちに、私の中でその物語は微妙に変形され、読み替えられていった。
 絵描きの習性として、物語のイメージは頭の中で徐々に像を結び、出口を求めて衝動は高まってくる。
 ある日、ふと「この物語には切り絵が似合うのではないか?」と気付いた。私は一気に8枚の「切り絵風スケッチ」を描き上げ、その後、内容を増幅して実際の切り絵連作に仕上げた。

 モチーフになったのは「今昔物語 本朝仏法部巻第十九」収録の、「讃岐国多度の郡の五位、法を聞きて即ち出家せる語」という物語だが、出来上がった切り絵ストーリーは、この原典とは話の筋や趣旨が違ったものになった。
 私の頭の中で、長年かけて変形が行われた結果である。
 今昔物語を元ネタにした、現代語訳とは違う、私・九郎の好き勝手な与太話として、これからカタッてみたいと思う。

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 次回更新より『極楽往生源大夫』はじまり、はじまり・・・
posted by 九郎 at 23:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 中世物語 | 更新情報をチェックする