静かな町並みの間を縫う、小さな電車に揺られつつ。

下手するとバスより小さな一両編成の電車は、物凄くアットホームな雰囲気だ。私のようなよそ者には、微妙に「勝手に上がりこんでしまった」感覚が付きまとう。別に地元の人が観光客を疎外しているわけではないのだが。
頭の中ではなんとなく「通りゃんせ」のメロディが繰り返される。

今、北野天満宮の境内では梅の花が咲き始め。今年は気温も高く、春の訪れは早そうだ。
白、紅、黄の色と香りに彩られた境内は華やかで、強い情念を遺して「天満大自在天神」となった菅公の姿とは、一応違う印象を受ける。

神域には多数の神牛の像がある。「北野天神縁起絵巻」にも随所で登場する牛たち。シヴァ神の息づかい。
そして、梅。
今、北野天満宮に行くと、いかに菅公が梅を愛しているかがよくわかる。
