盤牛王がどのような形でこの世に存在しているか、このカテゴリの種本である藤巻一保著「安倍晴明占術大全」より、そのまま引用してみる。
盤牛王が上の世界におられるときは大梵天王とお呼びし、下の世界に鎮座するときは堅牢地神と申し上げる。また、この神が迹不生であることをもって盤牛大王と名づけ、本不生であることをもって大日如来と称するのである。
やや難解な文章だが、「梵天」「堅牢地神」「大日如来」などの仏教の概念を使用して盤牛王を説明している。この世界そのものである盤牛王の本地を大日如来にしてあるのは、真言密教の胎蔵曼荼羅を思わせる。
中国神話には様々なバージョンがあり、同じ神名でも物語が一定しないのだが、一説によると盤古は天皇(てんこう)を生み、天皇が地皇(ちこう)を生み、地天が人皇(じんこう)を生んだとされる。天皇・地皇・人皇を三皇(さんこう)と呼び、伝説上の帝王と考えられている。
上図は左から順に地皇・人皇・天皇の図を元にして描いたが、
「金烏玉兎」における盤牛王を活躍の場によって姿を変えるものと仮定すると、
天皇・・・・・大梵天王
人皇・・・・・盤牛大王
地皇・・・・・堅牢地神
と振り分けて図像を当てはめてみるのも「有り」かもしれない。(このあたりは神仏与太話、融通無碍なお遊びということで……)
ここまでの「盤牛王」についての神話は、陰陽五行の内の「陰陽」がモチーフになっていると思われる。
天と地、日と月、円と正方形のイメージは、つまるところ「陽と陰」が展開されたものだ。
そしてここからは盤牛の五人の子供たちの物語、「木・火・土・金・水」の「五行」が展開された「五帝五竜王」の神話が始まることになる。