2007年06月26日

どろのうみ10

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八千八度の生まれ変わりの後、やっと生まれた人間に似たもの。
それは一匹のメザルでした。

子供たちは「もうこれ以上に似た姿は思いつかない」と、メザル一匹を残してみんな死んでしまいました。
たった一匹になったメザルはさびしくてさびしくて、今にも死んでしまいそうになりました。

「自分はこんな泥海の中、たった一人になってしまった。このままでいなければならないのなら、もう死んでしまいたい」

そのときです。メザルの心に、そっと何かが入り込みました。
それまでさびしかった心はふるい立ち、どんなことにも負けない気持ちが湧き上がってきました。

「何もいなくなってしまったのなら、自分が産めばいいのだ」

メザルの心に入り込んだのは何だったのでしょう?
それはあの元初まりの時、女のはじまりの道具になった、ねばりふんばり強いカメ、「くにさづちのみこと」の力だったのです。
posted by 九郎 at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 泥海 | 更新情報をチェックする