2007年06月27日
どろのうみ11
やがてメザルは、男五人女五人の十人ずつ子供を産みました。
カメの力もはたらいて、その子供らは人間でした。
この子らも五分から生まれ、五分五分と育ってやがて八寸になりました。
長い間、泥海の中を眺めていた月と太陽は喜びました。
何度も何度も、死に絶えては生まれ変わる生き物たちは、だんだん心がかたまり、強くなっていきます。
それがうれしくてならなかったのです。
月と太陽のふわふわうれしい気持ち。
メザルのかたく強い心。
すると泥海がとろりと揺れました。
とっぷりとっぷり波打って、だんだん高い所と低い所が出来てきました。