須弥山のことを調べているうちに、色々関連事項についても勉強できた。
須弥山宇宙観には、人や神々や星、阿修羅の住まう位置が、一応全て含まれており、インド起源の古い神話はそうした位置関係を下敷きにしている。
その中に蝕でも話題になった、「月を喰う悪魔」のお話がある。細部には諸説あるが、概容を紹介してみよう。
昔、不老不死の霊薬「アムリタ」を盗んだ阿修羅がいた。
太陽と月がそのことをヴィシュヌに告げ口すると、ヴィシュヌは阿修羅の首を切った。
しかし阿修羅はアムリタを飲んでいたので、首と胴体はそれぞれラーフとケートゥという星となった。
ラーフは太陽と月を憎んで追い回すようになり、時に飲み込むこともあるという。これが日蝕・月蝕である。
しかしラーフには胴体が無いので、飲み込まれた太陽と月はすぐに現われてしまうのだ……