2008年01月30日

啖呵の達人

 このカテゴリ「カミノオトズレ」でも度々書いてきたが、民族音楽が好きだ。ただ残念なことに、この分野は大型のCDショップでもそれほどスペースが割かれているわけではない。昨今の書店やCDショップは商品の回転が速く、古いものは中々入手しにくい。そんな中で、けっこう掘り出し物があるのが、ワゴンセールの安価なCDや、図書館に収蔵されている資料だ。こまめに回っていると、たまに面白いものに出くわす。
 最近発見したブツがこれ。



●大道芸口上集(上)(下)
 1990年刊。CDではなく、先行して発行された「大道芸口上集」という書籍のカセットテープ版。
 昔の縁日には様々な怪しい香具師が跋扈跳梁し、リズミカルな口上で客を煙に巻いて色々と怪しげな品物を売りつけていた。その口上の数々を、当時の雰囲気に忠実に再現したカセットテープ上下巻、合計2時間に及ぶ「大道芸博覧会」。「再現」とは言え、収録には本物の香具師の皆さんも参加しているので、怪しさ・迫力ともに一級品。
 ガマの膏売りやバナナの叩き売り、見世物小屋の客引きや、易者や自称山伏、法律家等等。昔の縁日はこんなにも素晴らしい異界だったのかと感心させられる。
 惜しむらくは、アナログのカセットテープ版しかなく、現在極めて入手困難であること。ぜひともCD版で再発して欲しいのだが、演目のうち「見世物口上」や「婆さん売り」などは、何かと表現に制約の多い今日この頃、差し障りがあり過ぎるような内容なのでまず無理なのだろう(苦笑)
 
 このテープを聴くと、現在TVで活躍中の面々の中に、往年の香具師と共通のDNAを持った人々が存在すると気付く。
 みのもんた、島田紳助、デーモン小暮、そしてTVショッピングで日々多様なブツを売りさばくあの人やあの人などなど。
 いつの世にも、声と言葉の連なりで人々の感情を操る異能の人が滅びることはないのだろう。


 入手が極めて困難なカセットテープ版と比べれば、書籍版はまだしも手に入りやすいようだ。
 機会があればご一読を。



●「大道芸口上集」久保田尚(正・続・新版)
posted by 九郎 at 23:05| Comment(0) | TrackBack(0) | カミノオトズレ | 更新情報をチェックする