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2008年02月25日

謡曲「雷電」

 昨年末に大道芸のカセットテープを聴いて以来、日本語の声による「語り」にハマッた。図書館やワゴンセールで、落語や浪曲などの昭和演芸や、古典芸能のCDを漁ったりしている。
 昔、風呂無しトイレ共同の安アパートに住んでいた時、2年間ぐらい部屋にTVが無かった期間があった。NHKの受信料徴収に来た人に、「あ〜うちTV無いっスよ」と言ったら、びっくりしてスゴスゴ帰っていったこともあった。
 その当時はもっぱらラジオを聴いて過ごしていて、深夜放送の昭和演芸紹介が好きだった。その時以来のマイブームだ。

 日本語による「語り」を聴き込んでいくと、必然的に辿り着くのは古典芸能の能・狂言の世界だ。恥ずかしながら今までほとんど興味を持っていなかったけど、調べだすとやっぱり面白い。
 謡曲の中には「縁日草子」向きの、怪しの神仏物語もいくつか見つかった。その中から季節にちなんだ演目を紹介してみよう。

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●謡曲「雷電」
 本日2月25日は天神様・菅原道真の命日と伝えられる。
 菅公については、当ブログでも断続的に語ってきた。
 (天神様北野天満宮天満大自在天神
 私はこれまでの流れの中で、天神様と第六天魔王の関係に興味を持っているのだけれど、まだ整理はついていない。

 謡曲「雷電」は菅公が死後、天神様になる過程を直接扱った演目だ。穏やかな姿で現れた菅公の霊が、昔なじみの僧と語るうちに恐ろしい怨霊の姿と化し、激しいバトルを演じる。
 カッと口を開いた「顰(しかみ)」の面に、炎のような赤い髪を燃え立たせ、金色の雷を思わせる模様の装束を身につけて、だん、だん、と足を踏み鳴らす。
 最後は「天満大自在天神」として天に昇って行く。私はTVでちらっと見た程度だが、能の中ではかなり激しい部類に入るだろう。

 この演目は、各種古典文学大系の謡曲集には中々収録されていないが、和綴本が割りに入手しやすいので、原文を読むことはできる。



 現代語訳はついていないが、演目の解説や簡単な図が添付されているので、読むのにさほど苦労はない。黙読よりも音読の方がお勧め。声に出して読むと、不思議とストーリーが頭に入ってくる。
posted by 九郎 at 01:02| Comment(0) | TrackBack(0) | カミノオトズレ | 更新情報をチェックする