
(「中陰和讃」続き)
四七日まもる普賢菩薩
生津の川が現われて
死してめしたる帷子の
六字の名号で越えるなり
(五七日に続く)
浄土系中陰和讃、四七日の部分である。真言系のものも内容に大きな異同はないが、「生津の川」は「苦げんの川」になっている。
四七日は十王説では五官王の審判、十三仏信仰では普賢菩薩の守護となるので、和讃の内容と一致している。
生津の川は「しょうづのかわ」と読み、漢字は様々に宛てられるが、通常は「三途の川」の異名であるとされている。ところが中陰和讃では次の五七日の段に三途の川が登場するので、ここでは別の川として設定されているようだ。生と死の狭間の世界に川が流れているという言い伝えは世界各国に広く分布しているが、二度川を渡る世界観は珍しいかもしれない。
この関門を越えるためのアイテムは、死者の身につけた帷子(かたびら)に書かれた「六字の名号」であるとされている。「六字の名号」は通常「南無阿弥陀仏」を指し、このアイテムの設定は真言系のものも同じになっている。