2008年08月02日
あの世の風景
ここまで「中陰和讃」を元に、人が死んでから49日までの道行きを辿ってきた。
神仏絵描きとしては「あの世」というのはとても惹かれるテーマだ。 「あの世の風景」を視覚化するにあたっては、私は前から「キュビズムのような抽象絵画風に描ければ良いな」と思っていた。
子供の頃、図書館でピカソ等の抽象絵画の図版を見たときに「地獄絵みたいだ」と感じた。私は子供の頃から仏画や仏像に興味があって、色々と図版を眺めていたのだが、そんな中で見た絵巻物の中の地獄風景と、荒々しい抽象絵画の画面の雰囲気がよく似ていると思ったのだ。(後にピカソの「ゲルニカ」については、「地獄絵」と感じた直感はほぼ正解だったと知る)
今回のカテゴリ「あの世」で描いてきた風景は、抽象画そのものではなく、あくまで抽象絵画「風」の絵柄なのだが、年来の望みをようやく一つの形に出来て楽しかった。
今回の作風の参考にしたのは、もう何年も前のNHK教育TV「趣味悠々」シリーズの、「谷川晃一の自由デッサン塾」という講座の内容だ。鉛筆と消しゴム、クレパスや水彩絵具といった馴染み深い画材から、木炭やアクリル絵具まで拡張しつつ、誰にでも親しめる形で抽象表現の扉を開いてくれる素晴らしい講座だった。
同番組では、むかし西村公朝先生の仏像彫刻講座もあった。私の重要な技法供給源である(笑)