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2009年02月01日

2009年2月の予定

【2月の予定】
 2月と言えば節分。本来は旧暦でないと意味合いが薄れるのですが、ともかく季節の行事はおさえておきましょう。インフルエンザも猛威を振るう今日この頃、疫病神をテーマにしたカテゴリ節分に、いくつか補充記事を入れた後、新しいモノガタリを開始予定です。

【ロゴ画像変更】
 今回はカテゴリ原風景で描いた絵を題材に制作。
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2009年02月02日

カテゴリ「節分」参考図書3

 このカテゴリ節分の主人公は、なんと言っても牛頭天王だろう。今回はこの謎の神に肉薄する参考図書について紹介してみよう。



●「牛頭天王と蘇民将来伝説」川村湊(作品社)
 かつて広く民衆の信仰を集めた牛頭天王は、維新後の国家神道体制の確立とともに、その姿を埋没させられた。記紀神話に登場しない来歴不明の異神であることや、天皇以上に民衆に親しまれた「てんのう」であったことがその原因であるらしい。
 各地の民俗や文献に残る牛頭天王の断片を丹念に辿り、この異様な神の多様な姿を描き出す一冊。牛頭天王信仰の成立過程そのものが、神が神を喰い、交わり、転生する、異様な神話体系であると感じられる。様々な古文献のテキストが収録されているのがありがたい。
 私がカテゴリ「節分」を記事にしたのが2006年、この本はその1年後に発行されている。記事を書いた時点でこのような本を読めていたらと無いものねだりをしたくなるが、もし先に読んでいたらもうそれだけでお腹いっぱいになって、わざわざ自分で拙い記事にする意欲はなくなっていたかもしれない(笑)

●「陰陽道の神々」斎藤英喜(佛教大学鷹陵文化叢書)
 タイトルも本の造りも硬い学術書のような体裁だが、文章は物凄く平易で明快。私のような素人にも読みこなし易い。
 牛頭天皇をはじめ、当ブログのカテゴリ金烏玉兎で扱った盤古神話についても詳述されている。カラー図版の牛頭天王や五帝五竜王の図像は一見の価値あり。
 この本も私がカテゴリ「金烏玉兎」を記事にした後に発行されているのだが、記事を書いた時点でこのような本を読めていたらと無いものねだりをしたくなる。しかしもし先に読んでいたらもうそれだけでお腹いっぱいになって……(以下略)

●「異神(下〉」山本ひろ子(ちくま学芸文庫)
 当ブログ「縁日草子」で様々な神仏についてのモノガタリを紹介する内に、徐々に「中世神話」の世界に心惹かれるようになってきた。
 日本の記紀神話の世界と印度から中国を経由して伝わった外来の神仏が、数百年の醸造期間を経て、互いに交わりあった異様な神仏習合の神話世界を生んだ。そのような渾沌の中から、ゆり戻しのようにただ一つの要素を強調し、開明性を打ち出した鎌倉仏教の試みが生まれた一面もありそうだ。
 この本はそうした中世神話の主人公とも言うべき神仏について詳細に考察しており、下巻には牛頭天王が取り上げられている。 上巻と併せてカテゴリ大黒の参考図書としてもお勧め。
posted by 九郎 at 01:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 節分 | 更新情報をチェックする

2009年02月03日

ただいま工事中

 節分にちなんで一枚神仏絵をあげようと思っていたのですが、ちょっと間に合いそうに無いので、途中経過を一旦報告。
 牛頭天王の図像のバリエーションの一つです。

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 清書および詳しい物語はなんとか近日中に……
posted by 九郎 at 01:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2009年02月06日

鬼を統べる神

 牛頭天王のルーツは、強いて遡れば世界中に古くから存在する牛頭人身の神々のイメージに連なるかもしれないが、直接的には大陸から朝鮮半島伝いに渡来した神が、中世日本で似た性格を持つ現地の神と合体して成立した鬼神だろう。
 牛頭天王の図像は様々な種類のものが流布されており、これと言った定番は無い。ただ、頭上に牛の頭を冠し、斧状の武器をかざしていることが多いので、それを目印にすれば同定し易い。
 仏教で言えば天部(仏教流に読み替えられたインドの神々)のような姿で描かれることが多いが、中には多面多臂の明王部のような姿で描かれたものもある。
 今回はそうした明王部的図像を元に一枚描いてみた。
 元図は陰陽道の「神像絵巻」に描かれた牛頭天王像で、カテゴリ「節分」参考図書3で紹介の「陰陽道の神々」斎藤英喜(佛教大学鷹陵文化叢書)のカラー表紙を参照した。

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posted by 九郎 at 22:33| Comment(4) | TrackBack(0) | 節分 | 更新情報をチェックする

2009年02月09日

中春こまわり君、再会

 70年代を代表するギャグ漫画「がきデカ」の続編、「中春こまわり君」について、これまで二度記事にしてきた。

中春こまわり君
中春こまわり君、再び

 数年間、断続的に連載されていたこの作品が一冊にまとまって刊行されていたので紹介しておこう。往年の「がきデカ」読者感涙必読の一冊だ。


●「中春こまわり君」山上たつひこ(ビッグコミックススペシャル)

 約二年前、なんとなく手に取った雑誌であのこまわり君が復活していることを知った。それから注意を払ってはいたのだが、不定期に短期連載が始まっては終了するので全ては追いきれなかった。 今回、単行本で未読分を補完でき、凄く濃密な良い時間を過ごせた気がする。

 復活したこまわり君は、可愛い奥さんと真面目そうな一人息子という家庭を持ち、それなりの規模と思しき会社で、同僚の西城君とともに営業職に就いている。この「意外性」有る設定だけでも作品の成功は担保されていたと思うのだが、通読してみてもう一つ「意外な設定」に気付いた。
 旧「がきデカ」は、長期連載のギャグ漫画にはままあることだが、一種の「閉じられた時間」に設定されていた。作品内の風景は季節のうつろいとともに描かれるのだが、連載期間中、基本的に登場人物が年をとることは無かった。
 こまわり君という聖なる狂気を帯びた異人が、周囲の一般人の中に紛れ込んだことで生じる「お祭りさわぎ」を永続させるための、「季節は巡れど時間は過ぎない」特別な時空の中で作品は紡がれていた。
 だから旧作は「時間経過による終了」は免れていたのだが、こまわり君の放射する狂気が他の(正気な)キャラクターにも徐々に伝染していくことにより、狂気と正気の落差によって生じる「お祭りさわぎ」の駆動エネルギーが希薄になることで終了したのだと思う。

 今回の「中春こまわり君」は、38歳〜42歳のこまわり君が登場する。設定の上で中年になったとされているだけでなく、作中の時間が「この世の時間」と同様に流れていることになる。実際、38歳、40歳、42歳のこまわり君は、それぞれに少しずつ性格が違っている。
 新作のこまわり君は、一応「正気」の人々の中に潜み、時に噴出して日常生活を破綻させようとする「静かな狂気」を、再び日常の中に軟着陸させ、「鎮魂」して回る役柄になっている。
 その様は、まるで改心して仏教の守護神となった夜叉や鬼神、天部の神々のようにも見えてくる。往年の異形の力はやや減じているものの、パンツの中の刃はまだまだ健在だ。

 一発ギャグだけではなく、巧妙な筋立てと会話の「間」で、何度も再読のできる、大人の作品に仕上がっている。
 ぜひ、今後のこまわり君も見てみたくなる。
 数年に一度、昔の友人と飲むぐらいの頻度でいいから。
posted by 九郎 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 神仏絵図覚書 | 更新情報をチェックする

2009年02月11日

音遊び「おやまのこもりうた」

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【おやまのこもりうた】

(mp3ファイル/約5分30秒/10MB)ヘッドフォン推奨
posted by 九郎 at 10:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 音遊び | 更新情報をチェックする

2009年02月12日

ブログ・マップ更新

 ながらく放置していたご案内を、久々に更新しました。

 ブログ・マップ
 動画保管庫

 ここ一ヶ月ほど「節分」で検索してこられる皆さんが多かったのですが、節分を過ぎると今度は「おりがみ 雛人形」などの検索ワードが増えてきています。
 良い機会だから関連記事をまとめておきましょう。

 小さな雛型からコツコツと
 おりがみ雛人形
 おりがみ雛人形2008

 時間があれば、今年も増築したいなあ……
posted by 九郎 at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

2009年02月15日

夢見る仏

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 本日2月15日は涅槃会。
 お釈迦様が涅槃に入ったとされている日。

 アジアでは釈迦像の中でも大地に横たわった姿の涅槃像の人気が高い。
 仏教開祖の死のシーンでありながら、夢見るように微笑んで横臥する姿は、とてもあたたかく穏やかに見える。
 身体にぴたりとフィットした衣の線は、大地にそのまま溶け入るように流れている。
 かなり大きな像も造られているが、立像や坐像の大仏とは違い、どのように大きく造られても、人々が「見上げる」形にはなりにくい。
 
 お釈迦様は35歳で菩提樹の下で悟りを開き、ただ独りその境地を楽しむことなく、樹下から法を伝えるために旅立った。
 その旅の果ては、「昇天」のような高みのイメージではなく、大地に横たわった姿で表現されている。
 慈悲という言葉を考えるときの、一つのヒントになるかもしれない。

【関連記事】
はなまつり
成道会
涅槃会
托胎霊夢
降魔成道
最期にひとつ
降兜率
色究竟天
posted by 九郎 at 23:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 季節の便り | 更新情報をチェックする

2009年02月20日

カテゴリ「薬師」

 日本に仏教が伝来した最初期に信仰を集めた仏、薬師如来。
 いかなる病も癒すと伝えられるその力は、まだ仏教の何たるかをほとんど知らない民衆にも、受け入れられ易かったのだろう。
 このカテゴリでは薬師如来について、あらためて学びつつ描いていってみたい。

 薬師如来についてはこれまでにも断片的に書いてきた記事があるので、参考図書とともに紹介しておこう。
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posted by 九郎 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 薬師 | 更新情報をチェックする