和歌浦の英雄・雑賀孫市の兜について、以前一度イメージスケッチしてみたことがある。
雰囲気でざっくり描いてみただけなので、今回はもう少し詰めてデザインしてみよう。
土台になるのはやはり「雑賀鉢」だろう。私の思う雑賀鉢の典型を三面図にしてみる。前立に使う八咫烏も、伝統的なデザインを元に加えてみた。
動き回りながら火縄銃を撃つという機能優先で考えるなら、前立は無しで防錆の黒漆で仕上げたシンプルなデザインになるだろう。
司馬遼太郎「尻啖え孫市」の作中では、ヒーロー雑賀孫市はそれぞれの戦で様々な甲冑を身につけて登場する。
講談社文庫版P409では、本願寺の求めに応じて大阪に入る場面で「雑賀鉢に真黒な翼を広げた烏の前立を打ち」と描写されている。
黒漆仕上げの兜に真黒の前立では識別しにくいので、この場合は鉄地の方が映えるだろう。
同文庫版P441の、信長軍との開戦シーンでは「具足は朱、それに金の金具を打った派手ないでたちで、カブトは雑賀鉢、それに金の八咫烏の前立を打ち」と描写されている。
カブトの色を朱の具足と揃いと解釈すると、下図のような感じになるかもしれない。
作中の孫市は、通常の火縄銃の二倍の射程距離を持つ「愛山護法」を引っさげて活躍する。朱のカブトとあわせて考えると、どうしても「シャア専用?」とか妄想してしまうのは、おバカなガンダム世代の悪癖だ(笑)