7月22日の皆既日食の話題が盛り上がっている。
ニュースでは度々「今世紀最長の皆既日蝕が見られる島」として、鹿児島県トカラ列島の悪石島を取り上げている。
悪石島では当日「6分25秒」の日蝕が見られるらしく、これは異例中の異例の長さだそうで、十年以上前から世界中の天文ファンにこの小さな離島が注目され、今現在続々と人が集まりつつある。
渡航が困難でろくに宿泊施設も無い絶海の孤島、しかもお天気まかせの天体ショーなのにも関わらず、ちょっとした騒ぎになっているようだ。
今のところ当日の天気予報は「曇り時々雨」。
さて、どうなることか。
悪石島のことは今回の日蝕騒動以前から気になっていた。
この島のお祭りには異形の仮面神が登場するのだ。
まるで東南アジアの民族芸術のようなデザインの来訪神は「ボゼ」と呼ばれている。検索してみるとわかると思うが、上掲の絵はとくに誇張したものではない(笑)
こんな素晴らしい仮面文化が残っている日本は、まだまだ広く、深く、捨てたものではないと思わせてくれる。
トカラ列島は思い立ってすぐ行けるような場所ではない。
そこに至るためには溢れんばかりの「島」への情熱と、十分な時間と、その二つを用意できるだけの生き方が必要になってくる。
今の私にはまず無理なのだが、いつか行ってみたい場所の一つだ。
今回、ただ太陽が欠けるのを見るためだけに絶海の孤島へと旅立った愛すべき大馬鹿野郎たちに、心からのエールを送りたい。
どうか天気になりますように……
●「吐カ喇列島」斎藤潤(光文社新書)