2010年03月29日

鉄砲戦術を絵にするということ

 雑賀衆に関する漫画作品の連載が続いている。

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●「雑賀六字の城」(歴史街道増刊「コミック大河」連載)
 連載第三回にして、十七歳の主人公・七郎丸が初の実戦に臨む。戦場は雑賀の地から海路で石山本願寺に向かう途上、敵は織田軍に協力した近江・琵琶湖の水軍。
 主に湖上を主戦場とする織田水軍は、しょせん海戦に慣れた雑賀水軍の敵ではない。百匁筒や焙烙火矢など、雑賀水軍の火器術が圧倒的な強さを見せる。作中でもこうした火器類が、細部はともかく「雰囲気で流す」のではなく、絵としてきちんと描き分ける努力が払われていることは、十分評価されて良い。
 雑賀水軍の圧勝かと思われたその時、漫画版オリジナルの登場人物が颯爽と現れる。髑髏の兜の下に輝く鋭い眼光、鉄砲に長けた雑賀衆すら驚く、遠間からの正確な射撃。鉄砲術にかけては戦国当時、雑賀衆と並び称された、紀州根来からの助っ人である。
 七郎丸は初陣において、いきなり手強いライバルと遭遇することになった。
 根来は地域的には雑賀に近接しているものの、信仰も経済基盤も全く異なる集団で、石山合戦の史実の中でも織田軍に協力的であったことが知られている。
 原作には登場しない漫画的なライバルだが、根来衆であるという設定は、今後の物語の中で史実と矛盾なく活躍させることができるはずなので、読みながら思わず「上手い!」と呟いてしまった(笑)
 原作を尊重しつつ、このぐらいのアレンジは漫画として成功させるためには当然「有り」だろう。
 今後にますます期待!

●「ゴルゴ13」(ビッグコミック連載)
 第500話記念と銘打ち、脚本協力に「逆説の日本史」で知られる井沢元彦を迎え、二号連続で「あのゴルゴ13が火縄銃を使う!」という設定で描かれる物語。
 私は鉄砲の専門ではないのであくまで素人の感想になるが、作中で「火縄銃には不発がない」とされている点、戦国時代に名人とされた狙撃者が、火縄・銃身・火薬の関係でミスを犯していたとされる点は、少し疑問に感じた。
 しかしこうした名のある作品の中で火縄銃が登場するのは、昨今の戦国ブームの盛り上がりを反映しているようで、興味深い。


 戦国時代の鉄砲戦術については不明な点が多く、プロの漫画家のような手練れの皆さんであっても、けっこう悪戦苦闘しているようだ。
posted by 九郎 at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 和歌浦 | 更新情報をチェックする