2010年08月28日

あくまで約束

 本ブログは宗教的なテーマを扱っているのだが、無所属であり、特定の宗派の宣伝・布教をするものではないことを一応の建前としている。そうは言いながらも、筆者の生まれた家は祖父の代から浄土真宗僧侶だったこともあり、私が今現在真宗僧侶をやっているわけではないのだが、本願寺系の事象には関心があるので多くの記事を書いてきた。
 
 そんな私なのだが、ここで「重大な」カミングアウト、信仰告白をしようと思う(笑)
 私は過去に、ある宗教団体の、それなりに熱心な信者であったことがるのだ!
 その宗教団体の名は「聖飢魔U」、言わずと知れた悪魔教の布教団体だ。この宗教団体は、表面上はロックバンド、ヘビメタバンドの体裁を持っているが、アルバムのことは「大教典」、シングルのことは「小教典」、と呼び、コンサートやライブの類は「ミサ」、「教典」を購入したり「ミサ」に参加するファンは「信者」として扱うことになっていた。(また、バンドの各構成員のひいきのファンはそれぞれに「宗派」を構成したりしている。例えば「デーモン宗」とか)
 私自身はミサに参加したりファンクラブに入会したりするほどの熱心な信者ではなかったのだが、それでも大教典・小教典は出るたびに全て購入し、1999年の解散までも、またそれ以降も音を聴きこんで様々にものを考え続けた信者だった。
 
 世間的にはリーダーであるデーモン閣下のキャラクターだけが先行し、肝心の音楽活動の方は「所詮コミックバンド」という扱いで軽視され続けてきたのだが、聖飢魔Uというバンドは知る人ぞ知る、凄まじい実力を秘めた日本有数のロックバンドでもあった。
 ボーカルであるデーモン閣下が「意外と、というか物凄く歌の上手い人、いや悪魔」であることは、TVのバラエティー番組等を通じてけっこう知られている。しかしその他の構成員、歴代ギタリストはもちろんのこと、とくにリズムセクションであるベースとドラムのコンビ「RX」は、技術面では世界レベルに余裕で達していることを知る人は少ない。
 リズムセクション「RX」については、ジョン・ウェットンと交流があり、そのロンドン公演に参加したことがあると書けば、ちょっと驚く人もいるかもしれない。
 聖飢魔Uのそうしたテクニカルな凄みがよくわかる映像としては、たとえばこのようなものがある。

 よく知る信者にとっては「凄まじい実力派バンド」であった聖飢魔Uだが、世間的にはその実力に見合う評価のなされないまま、1999年、華々しく解散した。
 これはデビュー当初、いやバンド結成当初からの予定通りの解散で、デーモン閣下の発言によれば「1999年までどんなに売れなくなっても続ける。また、1999年時点で物凄く売れていたとしても解散する」という強固な決意と、私を含めた信者たちとの「約束」の履行だったのだ。
 悪魔教の公式教義としての聖飢魔Uというバンドは「地獄から地球征服の先兵として、まず若者たちの精神を洗脳するためにやってきた」という設定で、さらに「1999年までには地球征服を完了させ、解散すること」が任務とされていた。
 しかし現実世界の1999年当時、聖飢魔Uは「知る人ぞ知る実力派」という位置に甘んじていて、およそ「地球征服」と表現できる状態にはなかった。デーモン閣下の「すでに世界征服のための布石は打ち終わったので、約束通り解散する」という公式見解も、それなりに熱心な信者であった私ですら「ちょっと苦しいな……、まだまだ地球征服には時間がかかるのだから、これからもずっと続けてくださいよ、閣下……」などと不遜なことを考えていた。
 そんな一信者の思惑を超えて、聖飢魔Uは約束通り解散してしまった。
 ところがである。
 あれから十年を過ぎてみれば、動画サイト上にアップされた聖飢魔U関連の数多くの映像がきっかけとなり、世界中のハードロック・ヘビーメタルファンの注目が集まる機運が高まってきており、デーモン閣下の「布石は打ち終わった」という発言が、「苦しい言い訳」とばかりは言えなくなってきた。つくづく言葉の重みを大切にする悪魔たちだ。
 海外からも聖飢魔Uの活動に関する問い合わせが来るようになっていたそうなのだが、あいにくバンド本体が解散してしまっており、「約束」を大切にする悪魔たちは期間限定の再集結以外の復活を拒否し続けていた。
 そして解散十周年に当たる昨年から、地球デビュー二十五周年にあたる今年にかけて、再び期間限定の再集結、大教典の発布やミサ活動が行われることになった。海外からのオファーも視野に入れ、歴代大教典の中から選りすぐりの名曲たちが全て英語歌詞に置き換えられ、演奏も全て新録で復活することになったのだ。
 その出来の凄まじさたるや……
 解散までの数限りないミサ活動で熟成されまくった名曲たちが、今現在の「音」として見事に定着されている。一部構成員に変化があったことが逆に幸いして、完成された中にも荒削りな激しさが加味され、見事な迫力を醸し出している。
 何よりもデーモン閣下の復活が嬉しい。ハードロックボーカルとして、肉体的なピークは既に過ぎているのだろうけれども、それを補って余りある「演技力」「表現力」が備わっている。歌い手と言うより、「千両役者」という賛辞が似合いそうだ。
 単なる懐古的な「ベスト盤」ではなく、この教典こそが最高傑作ではないかと思わせる勢いが全曲に満ちている。
 昨年以来発布されている英詩大教典にはいくつかのバージョンがあるが、古参信者でない一般に広く聴いてもらいたいのは以下の一枚(というか二枚組)。


●「A QUARTER CENTURY OF REBELLION“世界的極悪集大成盤”」聖飢魔U

 当ブログは「いかなる宗派の布教も宣伝もしない」と約束して運営してきたのだが、今回だけは禁を破って宗教団体「聖飢魔U」の教典を宣伝する。
 上掲大教典には計二十一曲が収録されているのだが、実は聖飢魔Uの名曲はまだまだ多数あって、あと余裕で二枚くらいは同様の教典が出せるはずなのだ。今回の再集結が商業的にそこそこ成功してくれれば、「ではあと1〜2枚」という声が上がっても不思議はない。
 信者としては、ささやかながら自分のブログで布教し、売上枚数、試聴数、動画再生数何でもいいのだが、少しでも貢献しておきたいと願うばかりだ。

 この記事を私の人生の中の相当な時間と、「表現」というものを考えるためのたくさんのヒントを、豊かに提供してくれた悪魔たちにささげる。
posted by 九郎 at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | カミノオトズレ | 更新情報をチェックする