約二千五百年前、お釈迦様がインド、ブッダガヤーの菩提樹の下で、悟りを開いたと伝えられる日。
魔王の誘惑や猛攻を退け、降魔成道を果たしたお釈迦様は、そのまましばらく悟りの境地を楽しんでいたという。
ただ一人、境地を楽しむばかりのお釈迦様の元に、最高神の一人である梵天が訪れて、衆生にその悟りを説法してほしいと願った。
しかしお釈迦様は、自分の悟りが容易に衆生に伝わるものではないと知っていたので、なかなか願いを聞こうとしてくれない。
梵天の懇願を三度受けて、ようやくお釈迦様は金剛宝座を立ったという。

別の伝承では、成道の直後、魔がお釈迦さまに囁きかけたことになっている。
見事、修行を完成したからには、一刻も早く入滅してはどうか、と。
おそらく、お釈迦様ご自身の心の中にも、修行完成後はすぐにでも入滅してしまうのも本望であるという思いは、あったのではないか。
成道前であれば、悟りを求める心はダイヤモンドの如く堅固で、魔王軍のいかなる誘惑、攻撃にも打ち勝ってしまったお釈迦様だが、その悟りを完成してしまった時点でのこの囁きには、かなり心が動いたのではないかという気がする。
同時に、その甘い囁きが魔から発せられたものであることが、逆に本来あまり乗り気でなかった「伝道」への後押しになったのではないか?
そんな気もする。
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