2011年08月18日

誰か一人が完璧である必要は無い

 書店の原発関連の棚は今のところ維持されている。
 徐々に、福島の事故や原発全般に関する書籍より、放射能関連のものが増えてきている印象を受ける。
 事故そのものよりも、音無く姿無く日常生活を侵しつつある放射能の問題に、関心が移ってきているようだ。
 書店の本棚の一角に原発関連のコーナーが維持されるのは良いことだが、出版点数が増えてくると、どれを手に取ればよいのか迷うケースも出てくるだろう。
 私も何度か知人に質問を受けた。
 自分のような強硬な反原発の主張を持つ人間はさておき、一般にはあまり不安ばかりを煽らず、危機認識もきちんと併せ持ちながら、日常生活の具体的な注意点が平易に表現されているものを勧めるべきだろう。
 最近出たものの中では下記の本が、最初に手にとる一冊としては良いと思った。


●「あなたの家族を守るための放射能の教科書」岩見吉朗,シュガー佐藤(週刊朝日MOOK)
 QandA方式で原発や放射能に関する様々な疑問が平易に解説され、間に挿入されるマンガ部分では「都内で出産を控えた母親」の視線から原発事故とその対応を描いている。
 どちらのパートでも日常生活の中でいかに被曝量を減らすか、再び大きな原発事故が起こった場合どのような行動をとればよいかなど、懇切丁寧に取り上げられていている。
 漫画パート担当のシュガー佐藤は、こうした本であれば適材適所で良い仕事をしており、各所に武田邦彦のインタビューやコラムも入っている。

 
 私は「一般人が日常生活で可能な放射能対策」に関しては、現状では武田邦彦のブログの内容を確認するのがベターだと判断している。
 とくに、放射能対策は、同じく大気中の微粒子が引き起こす花粉症への対処と似ているとする解説は非常に分かりやすく、卓見だと思っている。
 しかしながら、ネット上を中心に武田邦彦の言説に対する批判は多い。
 私自身も「日常生活で可能な放射能対策」以外のブログ記事には、疑問を感じる点、はっきり考え方が違うと感じる点があるのは確かだ。
 だからと言って、納得できる部分の価値まで切り捨ててしまうことはない。
 それはそれ、これはこれだ。
 
 3.11以降の、日本は「放射能のぬるま湯地獄」になってしまった。
 にもかかわらず、本来なら率先して対策を講じる義務のあるはずの国や電力会社の動きは鈍い。
 単に動きが鈍いというよりは、はっきり責任を放棄していると言ってよいと思う。
 公的機関があてにならないこうした状況下では、能力のある個人の意見を注視する必要がある。
 それも誰か一人を熱狂的に祭り上げるのではなく、様々な意見をよく見聞きし、自分自身で判断しながら取捨選択していく必要がある。
 もはや放射能と無縁の生活には戻れないので、自分の人生観を確認しながら日々選択を繰り返すしかなくなったのだ。
posted by 九郎 at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする