2011年10月11日

とある「石」の思い出

 ずっと「睡眠不足上等!」「突貫工事バッチこーい!」で生きてきた。
 ここ数年は年齢のせいもあり、ちょっと身体に気をつけることにしている。
 高校生の頃は三時間睡眠一カ月とかやっても平気だったが、もうそんな元気はもちろん無い。完徹は絶対無理だし、三時間睡眠もせいぜい四日ほどが限度だ。基本は5~6時間睡眠を守らないと長続きしない。
 それを超えて無理押しすると、てきめんに体調を崩す。
 起こしやすい症状を並べてみると、以下のようなもの。

 ●ぎっくり腰
 ●肩から腰の酷い凝り
 ●胃炎
 ●口内炎

 ここ十年、簡単な日記メモをつけるようになってから、だいたい体調を崩すのは初夏や秋など夜間の気温が不順になり、服装に迷う時期に集中していることが分かっている。
 秋で言えばちょうど今頃だ。
 このブログでも酷い体調不良になった時には何度か記事にしてきたが、今後の自分への戒めと参考にするために、健康関連の記事はカテゴリ身体との対話にまとめることにした。
 読み返してみると、わざわざ自分で長文を書いておきながら、その記事以後にもぎっくり腰と胃炎の軽いのを一回ずつやってしまっている。アホである。
 もういい年なんだから、少しは学習しなければ……

 さて「石」のことだ。
 小沢一郎さんが尿管結石で入院なさったニュースを見ながら、とある「石」のことを思い出した。
 尿管結石ではないが、私も体から「石」が出てきたことがあるのだ。
 あれはたしか、まだ二十歳すぎの頃だったと思う。
 喉がひどく痛み、扁桃腺あたりが少し腫れ、発熱した。
 てっきり風邪だと思い、風邪ぐらいは医者に行かずに治すことにしているので、そのまま放置した。
 しかし二三日経ってもいっこうに症状が治まらず、やむなく受診すると、やはり風邪という診断で、薬を出してもらった。
 医者は基本的に好きではないけれども、一旦受診したら完璧に指示に従うことにしているので、欠かさず薬を飲み、しばらく安静にしていた。

 それでも治らない。

 そのうち喉の腫れが酷くなってきて、舌が痺れたようになり、呂律が回らなくなってきた。
 さすがに異常を感じて再度医者へ。
 診てくれたお医者さんも不審に思ったのか、喉を中心に口内を詳しく調べてくれた。
 舌を持ち上げて下顎を診ていたとき、お医者さんが小さく叫んだ。
 「あ! なんだこれは!」
 自分ではなんのことやらさっぱりわからなかったが、どうやら唾液腺のあたりに大きなしこりがあり、何か灰白色の物がチラッと見えているらしい。

(以下、痛いのが苦手な人は注意!)

 「あ〜、なにか石みたいなのが入っとるね。取っちゃおうか」
 と言いながら、先の曲がったピンセット状の器具で引っ張り始めた。

 痛い。

 「あれ? おかしいな」 
 おもったより「石」が大きくてなかなか抜けないらしく、徐々に引っ張る力が強くなる。

 凄く痛い。

 それでも抜けないのでお医者さんもムキになって「ガン、ガン」と言う感じで反動をつけて引っ張り始める。

 物凄く痛い。

 痛みで泣きそうになったのは子供の時以来だった。
 あまりの痛さで私の眼に涙が滲み始めた時のこと。
 「うわ! 抜けたー!」
 物凄く嬉しそうなお医者さんの声が診察室に響いた。

 私の口内から出てきたのは、シャーペンのおしりに付属している消しゴムくらいの大きさの、白っぽい「石」だった。
 「いや〜、でっかいの出てきたね〜! 君、持って帰りなさい、持って帰りなさい!」
 うきうきと小躍りしそうな様子のお医者さんに、私は「はあ」と答えるしかなかった。

 結局、唾液腺にカルシウムだか何だかが詰まって石状になり、それが原因で炎症を起こしていたのだろうということらしい。確かにその石が抜けてから、嘘みたいにピタッと症状は治まった。


 もし私が中世の坊さんだったら「口から舎利が出てきたありがたい僧」として崇敬を集めたかもしれない。出てきた石は宝物として厳重に寺院に保管されたかもしれない。そしてたとえば今昔物語の中の一話に収録されたりして。
 しかし残念ながら当時の私はただのアホな学生だったので、せいぜい飲み会のネタに石を披露するぐらいしかできなかった。
 生まれてくる時代を間違えた。


 そう言えば、母方の祖父もどこかに結石があって入院していた覚えがある。
 家系か。

 石さん石さん、もし今度来るときは、お手柔らかに……



 あまり関係ないけどヒガンバナ

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posted by 九郎 at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 身体との対話 | 更新情報をチェックする