wikiによると、以下のように定義されている。
二次創作物(にじそうさくぶつ)は、原典となる創作物(以下、「原作」という)のストーリー、世界観、それに登場するキャラクターや道具などの各種設定を元に、二次的に創作された、独自のストーリーの漫画、小説や、独自のイメージによるイラスト、CG、立体造形物(フィギュアなど)などの派生作品を指す。原作の媒体は、小説や漫画、アニメ、映画など多岐にわたる。主として同人誌の分野において1990年代後半から使用されている用語であり、著作権法上の用語ではない。
説明にある通り、多数の読者・ファンを持つ人気作品の世界観、設定、キャラクター等を使用し、自分なりの筋立てで作品化する「二次創作」は、玉石混交ながらも同人誌の世界で腕を磨くアマチュアの、有効な鍛練方法にもなっている。
魅力的な世界観、設定、キャラクターは、それを発想すること自体が非常に難易度の高い創作活動だ。そこを「借り物」で済ませることで、より技術的な、漫画で言えばストーリーやコマ割りや絵に集中することができる。
著作権的にはかなり黒に近いグレーゾーンだが、かなり人材を輩出している分野ではある。
一般に「二次創作」と呼ばれる作品が問題になるのは、まだ元ネタの作者が存命で、著作権の切れていない「現役」の人気作品を下敷きにしているからだが、同じ「広く人気のある既存の世界観、設定、キャラクター等を下敷きに表現活動を行う」という行為でも、全く問題化しないものもある。
たとえば日本の戦国時代や中国の三国志等を題材にした作品がそうで、「著作権」という概念が存在しない時代から数多の物語が紡がれ、各登場人物は史実から遊離しながらも魅力的な性格を備えて定型化されている。
歴史の流れの大筋という枠が決まっているので、ストーリー展開も発想し易い。
普通は戦国モノや三国志モノであること自体を指して「二次創作」と言うことは無いが、表現形態としては極めて近いものがあると思う。
実際、同人誌等のアマチュアの世界でも三国志・戦国モノは人気テーマで、他の二次創作と同じノリで多くの作品が制作されている。
もちろん、二次創作的であることと作品の質は無関係なので、良い作品は良いし、つまらない作品はつまらない。
けっこう高名な作家の小説作品でも、相当に斬新な部分が無ければ、二次創作的な性格を備えていると言えるだろう。
前回記事で紹介した池上版「信長」は当代一流の劇画師の秀作で、最終ページには高層ビルの背後に立つ南蛮甲冑姿の信長の幻影とともに、このようなナレーションで結ばれている。
信長がその生涯を
全うしていたなら_____
日本の近代が
もう三百年
早く訪れていたことは
確実である!
果たし得なかった
信長の夢は、
ついに永遠の
ロマンとなって
歴史を生き続けている!
こうした締めくくりにも良く表れている通り、作品全体は世に流布された通説・俗説や、一般に人気のある信長のイメージを上手く集大成してある構成で、絵作り以外には何か革新的なものがあるわけではない。
そのような意味では二次創作的な色合いの含まれる作品だといえるかもしれない。