2012年01月27日

波に抱かれて

 当ブログでは2000年に亡くなったアーティスト・どんとについて、私の極個人的な体験を含めて紹介してきた。
 カテゴリどんと
 振り返ってみれば阪神淡路大震災直前の秋、とあるビーチで行われたお祭りで、どんとのパフォーマンスに接したことから、自分の中の何ものかの解体・再構築がばたばたと始まって行った気がする。

 1月28日はどんとの命日。
 本日27日には、ハワイのヒロ本願寺で13回忌法要が行われているはずだ。
 
 私は今、どんと最後のオリジナルアルバムになった「DEEP SOUTH」を聴きながら、この夜を過ごしている。
 このアルバムについては以前にレビューを書いたことがある。
 該当個所を再録しておこう。


●「DEEP SOUTH」どんと
 97年発売。これがオリジナル・アルバムとしては最後の一枚になった。
 ジャケットには私が十数年前の満月の夜、海辺のライブで見たのとほぼ同じ服装「赤い服、黒い帽子」のどんとの姿がある。
 アーティスト名は「SPACY SONG STAR DONT」になっている。
 前作「ゴマの世界」は物凄く繊細でプライベートな一枚だったのが、今度は一変してその名にふさわしく、全曲不思議な「宇宙サウンド」が駆け巡る。
 歌詞の世界も聴きこむほどに凄まじく、もう半ば「人」であることの価値観から浮遊して、インドの宇宙創造神が直接歌っているような言の葉が、例によって手描きのイラスト入り歌詞カードを舞い踊っている。
 どの曲も凄いのだが、とくに「どんとマンボ」「波」の世界は、ちょっと他のもので喩えるのが困難なくらい、独自の高みに登りつめている。
 もし、どんとの地上の生命にもう少しだけ続きがあって、2000年代の空気を体感し、すっかり一般化したDTMや音楽配信技術、そしてインターネットの技術を吸収していたとしたら、いったいどんな作品が生まれ、どんな活躍をしていたことだろう。
 どんとが90年代後半に、日本のDEEP SOUTHで試みた様々な事柄は、2010年の現時点の方がはるかにマッチしていたのではないだろうか。
 やはり「預言者」的な資質の強い人だったのだろうと、最近ますますそう思う。
(再録終わり)


 あのお祭りのあった海岸でも、今日から明日にかけてきっと「波」を口ずさんでいる人がいるに違いない。
 あの岩場の松には、透明などんとがそっと座って、それを静かに聴いているかもしれない。

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 念仏和讃を海に向けて。
posted by 九郎 at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | どんと | 更新情報をチェックする