そろそろお盆だ。
以前私は、夏には毎年のように熊野を遍路していた時期があった。
ここ数年行けていないのだが、その時期の名残で、今でもお盆近くでまとまった休みがとり易い頃になると、なんだかそわそわして来てしまう。
一週間ほど山や里をほっつき歩き、湧水を飲み、川原に寝て、時には神社仏閣に詣でたりするのだが、旅の最後にはよく熊野の海を眺めていた。
とくに那智から新宮にかけての海岸線を、古道の痕跡を辿りながら歩くのが好きだった。
古来、那智の浜からは「補陀落渡海」という捨身行が行われていたそうだ。
南方の海の果てにあるという観音浄土を目指し、身を捨てて小舟で旅立つ行者が、多数実在したという。
かつて私は、このブログの開始直後の記事で、その小舟をモチーフにした絵を描いたことがある。
確かにあの海を見ていると、そのまま舟で漕ぎだしてしまいたくなる気持ちは分かる気がする。
那智の浜では波の音を聴きながら眠ったこともある。
ふと目が覚めて、素晴らしい夜明けの風景に出会ったことも、一度や二度ではない。
いつの日か、またきっと。
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