9月頃、愛用のノートPCに不具合が生じた。
ACアダプターを繋いでもバッテリーの充電ランプが点きづらくなってきたのだ。
常識的にはACアダプターの接触不良を疑うべきだろう。
しかし接触不良であれば、どこに不良個所があるかはだいたい分かるものだ。
今回の場合は、充電ランプが点く時と点かない時で、ACアダプターの配置やコードの角度に法則性は見られず、どうも接触不良ではなさそうに思えた。
後はバッテリー周辺か、ランプ単体、ACアダプター自体の劣化等が考えられそうだ。
そうこうしているうちに全く充電されなくなってしまったのが9月中旬。
2009年秋に約4万円で購入の安価なネットブックである。
けっこう使い倒して3年目という状況を考えればそろそろ寿命かもしれないのだが、長期保証の期間内なので一応修理に出してみることにした。
某大手家電量販店の修理カウンターに持ち込み、状況を説明する。使っていた感じでは、接触不良ではなさそうだということも、一応参考意見として述べておく。
量販店さんの説明では、こちらのメーカーは海外修理になるので少々時間がかかるとのこと。目安としては3週間、場合によっては4週間ほどかかることもあるらしい。
以前使っていた国内メーカーの修理が2~3週間だったことを考えると、期間は長めだ。
どことは書かないが、今回のネットブック、ある沖縄っぽい名前のメーカーの製品である。
私はそのメーカーに対してとくに何の先入観も持っていなかった。
価格の割りには、この3年間とくに問題もなく愛用してきており、むしろ好印象すら持ってきたと言ってよい。
だから国内メーカーより修理に多少時間がかかったとしても、まあ、そのくらいは仕方がないかと思っていた。
そう、この時点では。
ネットブックを修理に出してからは、けっこう不便を感じていた。
移動の多い商売柄である。
自宅に「母艦」としてのデスクトップはあるものの、やはり外に持ち出せる「戦闘機」は必要だ。
なんとか文字打ちはPOMERAで間に合うが、絵描きのハシクレとしては画像が扱える環境があった方が良い。
じりじりしながら修理完了を待つ。
3週間後、量販店から電話連絡があった。
ようやく修理が完了かと思って話を聞いてみると、どうも様子がおかしい。
チェックしてみたが、修理依頼の不具合が再現されないというのだ。
そんなはずはないのだが、メーカー側が不具合が存在しないと言うのなら仕方がない。一旦受け取るので返却してくれるよう、依頼した。
この時点で、私は「ああ、これはちょっとモメるな……」と、量販店の修理窓口での一悶着を半ば覚悟しつつあった。
その後の一週間、修理に出したPCのことを思い出すたびに、ちょっと気が重くなった。
そして一週間後(修理に出してから4週間後)、再度量販店から電話連絡があった。
やっと返ってきたかと話を聞いてみると、意外な報告があった。「最終チェックでACアダプターに不具合(やはり接触不良ではなかった)が見つかった」と言うのだ。
思わず電話口で舌打ちしてしまった。
(ほら見ろ、いわんこっちゃあらへんがな!)
生来、極めて短気な質である。
年齢とともに多少忍耐は身に付けてきたものの、頭に血が昇るハードルは相変わらず低い。
それでも矛先を向ける相手を間違ってはいけないので、そっと深呼吸しながら、努めて冷静に受け答えする。
「量販店さんに言っても仕方がないですけど、それ、最初のチェックで分からなかったんですかねえ?」
「……はあ……」
「バッテリーの充電ランプが点かないという場合、普通PC本体しか調べないもんなんですか? 最初はそれで突き返そうとしたわけでしょ?」
「……う〜ん」
「本体に不具合が見つからなかったら、当然ついでにACアダプターの方も調べるもんだと思うんですが、私の感覚は変わってますかねえ?」
「そうですねえ……」
「これでもう修理に出してから一カ月ですよ。いつになったら返ってくるんですかねえ」
しゃべりながら本来責任外の量販店の担当者さんが気の毒になってきた。
ぼちぼち矛を収めることにしたのだが、やはりお店側にも「販売責任」と言うものはあると思うのだ。
クレーマー扱いされるかもしれないが、一応言うべきは言っといた方が良い。
「じゃあ、他に不具合がないよう、ちゃんとチェックしてもらえるよう、量販店さんからもメーカーに伝えておいてくださいね」
結局、PCが返ってきたのはそれから2週間後のことだった。
たかがACアダプターの不具合を見つけるのに1か月、問題のアダプターが交換されて戻ってくるまでだと6週間。
どことは書かないが、沖縄っぽい名前のメーカーである。
物は悪くないですよ。普通に使えてます。
でもねえ、サポートは糞。
まあ、このぐらいのことは書かせてもらっても罰は当たらんだろ。