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2013年01月17日

遍路・防災・アウトドア 1

 今年もこの日がやってきた。
 1月17日、阪神淡路大震災の日である。
 カテゴリ90年代で断続的に綴ってきたが、私は18年前の今日、震度7の激震地域で被災している。

 被災経験とともに、私はここ二十年近く、熊野を中心に遍路を重ねてきた。
 登山やアウトドアをきちんと学んだことはないのだが、遍路することでそれなりに野外泊やそのために必要な道具について経験を積んできた。

 そうした経験から言うと、アウトドアと遍路と防災に必要な装備は、それぞれ微妙に相違しながらも共通している部分が多い。
 この機会に、各種装備について私の知るところを綴っておきたいと思う。

 興味のある人は、防災グッズ購入時の参考にしてみてほしい。


 阪神大震災で被災して以降、私は一年間ほどは以下の装備を常に持ち歩いていた。
・小型にまとまる寝袋
・ポケットラジオ
・ペンライト
・百円ライター
・十徳ナイフ
・コンパス

 寝袋はさすがにかさばるのでだんだん持ち歩かなくなったが、それ以外の5点は、基本的にいつも普段使いのリュックやウエストポーチに入れっぱなしにしていた。

 今でもだいたい同じようなものを常に持ち歩いている。
・ラジオはイヤホンタイプでAMが受信できれば良いので、1000円以下のもので十分。
・ペンライトは今ならLED使用でかなり良いものが安くある。
・ライターは点火部分の長い着火ライタータイプ。ボディが透明でガス残量が見えるものが良い。
・ナイフ類は最近取締が厳しいので、持ち歩くには要注意。
・コンパスは街中でも必須。交通機関が使えなくなった時、方角が分からないと非常に困る。 
 
 その他にも、その日買った新聞やペットボトル飲料は、用が済んだあとも次のものを買うまで捨てずに持っていた。
 新聞紙はライターで何かに着火する時に使えるし、寒い時期なら着衣の下の腹部に巻き付ければかなり防寒効果がある。
 中身が入っていなくてもペットボトルがあれば、、水汲みに使える。

 寝袋以外は、全部バッグに入れてもそんなに荷物にならないので、一通り揃えておくのがお勧めである。
 寝袋に代わるものとして紹介しておきたいのが、以下の製品。


●サバイバルシート(防寒・保温シート)
 見た目は薄っぺらな「でかいアルミホイル」だが、意外に破れにくく、断熱効果が高い。
 これ一枚で完全に寝袋の代わりが務まるかというと、それは無理だが、いざという時このシートが一枚あるのとないのとでは全然違い、生死を分けるシーンも出てくるのではないかと思う。
 価格も安く、購入状態ではポケットティッシュ程度のサイズと重さ。
 一応「使い捨て」ということになっているが、一度使うとくしゃくしゃになってコンパクトにたためなくなるものの、数回は使用可能だと思う。
 防災だけでなく、アウトドア・登山でも必須アイテムになるだろう。
 最近は専門店だけでなく、ホームセンターやスーパーでも同種の製品が取り扱われているので、明日にでも何個か購入しておくことを強くお勧めします。


(こんな感じで、しばらく防災グッズを紹介していきます)

2013年01月18日

遍路・防災・アウトドア 2

 2011年の東日本大震災を機に、ホームセンターや家電量販店、スーパーなどでも、防災グッズのコーナーが設けられていることが多くなってきた。
 そこでよく見かけるのが「防災ラジオ」というもの。
 機能的しては、ラジオとライトに加えて、発電用のハンドルが付いており、ケータイの充電も可能というものだ。
 代表的なのは、以下の製品になるだろう。


●SONY 手回し充電FM/AMポータブルラジオ

 amazonでは現在4200円の値が付いているようだが、家電量販店では5000〜6000円くらいで見かけることが多い。
 多機能の上、十分に小さく、品質的にもこれを買えばまず間違いないのだろうけれども、貧乏人としては、

「ちょっと高くね?」

 と言うのが正直なところだ。

 同じような機能を持つ製品は、探せば1000円くらいからある。
 しかし、あくまで防災目的であるならば、安物を買っていざという時に使えないのでは意味がない。
 とくに充電用の手回しハンドルの部分はそれなりの強度が必要で、あまり安価な製品はこの箇所の造りが悪いものが多い。
 実用に耐える価格帯としては2000円〜3000円くらいのものが手頃だろう。
 個人的には、以下の二種がお勧めだ。


●「H.C.5way マルチラジオ オレンジブリック」(mont-bell)
 私はこちらの製品を購入した。
 同等の機能を持つ製品の中では少々サイズが大きめなのだが、ラジオ+ライトの体積、重量として考えるなら、とくに大き過ぎるということもない。
 さすがアウトドアメーカーの製品だけあって、実際に手にしてみると、充電ハンドルやボディがとにかく頑丈そうなのが良い。「防災用」を主な目的とするならば、この頑丈さは貴重だ。
 ラジオの感度は問題なく、スピーカーとイヤホンジャックがある。
 ライトはLED3灯で十分明るく、たとえば一人用テントで点ければ簡単な作業くらいはこなせるだろう。
 携帯充電機能は気休め程度で多くを期待してはいけないが、この点はどの製品を買っても似たり寄ったりだろう。そもそも災害時は携帯の接続自体が悪くなりやすい。
 時計やアラーム機能もあるが、主電源を切るたびに時刻がリセットされてしまうので、これはあまり役に立たないかもしれない。
 小さいがソーラー機能も付いているので、普段は窓際にでも置いておけば勝手に充電してくれるが、これはあくまで補助的なもの。
 乾電池は使えないので、本体電源のメインはUSB充電になるだろう。


●「AM/FM/SW手回し発電ラジオライトRAD-V963N」(オーム電機)
 とにかく多機能。
 ラジオはAM、FM、短波が聴け、スピーカーとイヤホンジャックがある。
 電源はUSB、手まわし、ソーラーに加え、乾電池も使える。
 ライトとサイレン機能も付いており、小型でコンパクトだ。
 ただ、コンパクトな分、充電ハンドルはちょっと華奢な感じがする。
 防災用としてはやや強度不足かもしれないが、とにかくコストパフォーマンスの高い製品だと思う。


 この手の「防災ラジオ」は有名無名含めて多くのメーカーから出ているので、一家に一台購入しておけば、防災にもアウトドアにも使えるのでお勧めだ。
 記事中で紹介した2種以外にも、もっと安くてコンパクトな製品も色々あるが、できれば店頭で充電ハンドルの強度や各種機能をよく確認してから購入した方が良い。
 ラジオ機能はFMだけの製品もけっこうあるが、防災として考えるならむしろFMは必要なく、AM受信の方が必須だ。
 あと、見逃されやすいのがイヤホンが使用可能かどうかだ。
 実際に被災してしまった場合、避難所など人が密集している場所では、イヤホンでラジオが聴けないと、周囲にかなり気を使うことになる。
 購入の際は要注意!

2013年01月19日

遍路・防災・アウトドア 3

 私が熊野を中心とした地域で「遍路」を始めたのは90年代頃だった。
 川原やキャンプ場、海辺などで野外泊をする際に、よく使用していた調理器具が以下のものだ。


●LOGOS ツーリングクッカーセット

 大小の鍋、コップ、フライパンと皿として利用できる蓋が二種セットの、1〜2人用ステンレスクッカー。
 湯沸しはもちろん、丸形飯盒として炊飯もできる。
 私は遍路やアウトドア、たまに家の調理で、もう二十年以上使い込んでいる。
 かなり焦げ付きなどで年季が入ったが、いまだ現役。
 値段の割に、使える道具だと思う。
 ステンレス製なので、1人用としては若干大きめ&重め。
 軽さと携帯性を優先させる場合は、以下のものを使っている。


●EPI アルミ3点食器セット

 大きい方のカップで、ちょうどカップ麺に使用できるほどの湯が沸かせる。
 お粥などもちょうど一人分になる。
 単独で、湯沸しなどの簡単な調理だけなら、十分なセットだ。
 アルミ製で熱伝導が良いため、以下のミニコンロの使用にも適している。


●LOGOS ポケットタブレットコンロセット

 同様のミニコンロではエスビット製のものが有名だが、この製品は「フタ」が付いているのでアルミ容器の安定が良く、私はこちらの方が好みだ。
 固形燃料4個も付属しており、もちろん替え燃料も販売されている。
 固形燃料1個で、カップ麺のお湯がギリギリ沸かせるくらいなので、このミニコンロで何か調理しようとするのはあまり現実的とは言えない。
 ただ、極めて携帯性に優れているので、アウトドアの際にリュックに入れておいて損はない。
 疲れきった時に、一杯のコーヒーやカップスープ等が手軽に楽しめるのは、災害時においても心の支えになるだろう。


 本格的な調理を行う場合には、やはり焚き火やガスバーナーが必要になる。
 火の元については、次回の記事で紹介する。

2013年01月20日

遍路・防災・アウトドア 4

 これまで私のアウトドアは、ほとんどが単独行の遍路だった。
 熊野の遍路は基本的には人里近い経路が多い。
 けっこうハードな登山もするが、たいていは朝からスタートして午後には下山が終わるので、山中泊になることはあまりない。
 川原や海辺、キャンプ場などで宿泊することが多かったので、これまでガスバーナーの類はあまり必要なかった。
 そのような所では焚き火をするための木材や場所には事欠かず、金網一枚だけ用意して入れば、前回記事で紹介したような調理器具を快適に使用することができた。
 調理例

 私がこれまでやってきた「遍路」の場合はそれで十分だったのだが、ここ最近、各地のキャンプ場やバーベキュー場は「直火禁止」が多くなってきているように感じる。
 とにかく徒歩で移動することを目的とする「遍路」や「登山」では余計な荷物を増やすことは考えられないが、キャンプやバーベキュー自体を楽しむならば、バーベキューコンロの類はあった方がいい。
 2〜3人ぐらいまでの小人数ならば、以下に紹介するコンロが価格も安く、コンパクトにまとまって便利だ。


●サカイトレーディング CAR BABY ミニバーベキューコンロ シルバー

 正直、値段なりに造りは安っぽい。
 似た構造のコンロでもう少ししっかりした製品もあるが、ちょっと値が張る。
 多少やわなところもあるが、実際に使ってみたところ、まあ実用に耐えると判断したので、こちらをお勧めしておく。

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 組み立てたところ。
 脚部がややふわふわと不安定だったので、百均の焼きそばプレートで固定。
 もともと木炭の灰が下部からこぼれる構造なので、直火禁止の場所ではなんらかの下敷きは必要だ。

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 木炭を入れ、新聞紙で着火したところ。
 ピラミッドを逆さにした形なので、木炭は思ったより少量でいっぱいになる。
 ローソクが一本入っているのは着火剤がわりだ。

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 前回記事で紹介したステンレスクッカーで炊飯中。
 金網面積にはまだ余裕があるので、湯沸かしや、何かを並行して焼くことも可能。

 使ってみた感想としては、直火よりは火つきが良く、調理に要する木炭も少量で済む。
 重さは約1.4キロ。登山や遍路で持ち歩くには重いが、薄くたためるので徒歩での移動が少ないキャンプやバーベキューには便利だろう。
 冬季ならば焚き火台に使って暖もとれそうだ。

 用途としては七輪とほぼ共通。
 求めやすい価格の防災グッズとしても、十分使えるレベルだと思う。

 ガスバーナーについては次回の記事で紹介。

2013年01月21日

遍路・防災・アウトドア 5

 防災目的で言えば、カセットガスコンロは必須アイテムの一つだろう。
 木材を燃やすより場所を選ばず、普通に使う限りは火災のリスクが少ない。
 そもそも各家庭に一台くらいはあるだろうし、カセットボンベはコンビニや百均でも売っているので、非常に入手しやすい。
 三本セットくらいのボンベを常備しておけば、災害時でも十分役に立つ。
 様々な製品が発売されているが、なるべくスリムであるか、小型・軽量のものを選んでおくと、持ち運びやすいのでより防災向きだ。


●イワタニ カセットフー 達人スリム
●イワタニ カセットフー エコジュニア
●イワタニ カセットガス オレンジ 3本組

 アウトドアでも、徒歩の移動を主目的とする登山や遍路でなければ、小型軽量のカセットコンロは十分使える。
 登山や遍路の場合はさすがにもう一段階コンパクトでなければならない。
 私の場合は防災目的とともに、できれば遍路で使用可能なものが欲しいので、やはり登山用のガスバーナーを試してみたくなる。
 登山用のガスバーナーも様々な種類があるが、私の好みから言えば、あまりに小型のものはかえって使い道がないと感じる。
 よく使用するツーリングクッカーで無理なく調理するためには、五徳部分にそれなりの大きさがないと安定しない。
 求め安い価格帯で探してみると、以下の二点が目にとまった。
 探せばもっと安い製品もあるが、火の元なので信頼できるレベルの品質でなければならない。


●CAPTAIN STAG オーリック小型ガスバーナーコンロ M-7900
●イワタニ・ジュニアバーナー

 登山用のカートリッジを使用したバーナーと、カセットコンロ用のボンベを使用したバーナーの二種である。
 どちらにするかかなり迷った。
 CAPTAIN STAGの製品は、そこそこコンパクトにまとまり、ガスカートリッジもホームセンターであれば普通に入手できる。
 イワタニのジュニアバーナーはややかさばり、寒期の高山など本格的な登山には不向きだけれども、なんといってもボンベが安く、日本中どこでも入手できる。
 迷った結果、ボンベの入手しやすさとランニングコストから判断して、イワタニのジュニアバーナーを購入した。

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 専用のケースと、通常のカセットボンベの半分位のサイズのボンベが付属している。もちろん通常サイズのものも使用可能。
 組み立てると、以下のような状態になる。

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 ボンベを横に寝かせる形になるので重心が安定しやすく、五徳部分にも十分な長さがある。
 アルミ製のクッカーをのせ、パックのご飯から一人分のお粥を作ってみる。

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 五徳部分にはまだかなり余裕がある。
 ただ、あくまで「ガスバーナー」であって「コンロ」ではないので、火はあまり広くは出ない。
 一点集中だが火力は十分なので、五分ほど加熱するとお粥状になってくる。
 火力調整も可能。

 正月明けに買っていた、フリーズドライの「七草茶漬け」をふりかけて完成。

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 本格的な登山用バーナーほどではないが、十分に軽量コンパクトで、ボンベも極めて入手しやすい。
 価格は安いが、国内ガス製品メーカーなので、品質はまったく問題なし。
 防災でもアウトドアでも兼用できるので、かなりお勧めである。

2013年01月22日

遍路・防災・アウトドア 6

 今回はテントのお話。

 二十歳そこそこの頃から、熊野周辺の遍路を始めた。
 その頃はアウトドアに関する知識も技術も何もなく、ただただ気になるルートを歩き続けるだけだった。
 今も覚えている最初の遍路は、奈良県の五條から熊野本宮へと続く「十津川路」を辿った。

 熊野の各古道経路については、以下の図を参照。クリックすると拡大します。
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 十津川路は、現在はほぼ国道に吸収されてしまっており、基本的には舗装道路を延々と歩くだけなので、とくに登山技術は必要ない。
 ただ、歩道のない箇所が多いで、ドライバーの皆さんの邪魔にならないよう、また事故に遭う危険がないようを注意しなければならない。
 夏季だったが、寝袋もなにも持っていなかったので、バス停や公園など、夜露をしのげる場所で野宿しながら、三日ほどで熊野本宮に着いたと記憶している。

 二回目以降は、さすがに寝るための装備は考えるようになった。
 ちょうどホームセンターで、2000円ほどの一人用の格安テントを売っていたので、試しに購入した。
 使ってみると、テントというよりは「テント型のブルーシート」みたいな感じで、まさに値段相応の代物だった。
 色も水色で、遠くから見るとまるでゴミ袋が放置してあるように見えた(笑)
 とにかく「安いこと、軽いこと」だけが取柄で、一度雨に降られたときは速攻で雨漏りした。
 そんな「テント型ブルーシート」であっても、私の場合はそもそも何にも持たない野宿から出発しているので、屋根が見当たらない所で夜露が防げるだけでもありがたかった。
 それなりに気に入って使っていたのだが、別れは突然訪れた。
 あるとき、人里近い川原に設営して、あたりを二時間ほど散策して帰ってくると、きれいさっぱり消失していたのだ。
 盗まれたのかもしれないが、「ゴミ袋と間違えて回収されたのではないか?」という疑問を、私は未だに打ち消せずにいる……
 
 3.11以降、防災グッズを探している時に、この懐かしの「テント型ブルーシート」によく似たものを見つけて、思わず笑ってしまった。


●GIGANTIC TREE ドームテント

 形や色は多少違うけれども、値段といい、性能といい、そっくりである。
 屋外用のテントとしてはまともに使うことはできないと思うが、防災グッズとしてなら使い道はある。
 ドーム型なので、ペグを打たなくても自立することから、災害時に体育館などの屋内避難所で設営すれば、プライベートの確保に役立つだろう。
 私は阪神大震災の被災者でもあるので、混み合った避難所で、一応人目を避けられる空間のありがたさは、よく知っている。
 防災グッズとして考えるならば、この手の安価なテント(?)のコンパクトさと軽量さは、持ち運びの際の利点になり得る。
 折紙つきではないけれども、
 「まあ、高いもんじゃないし、今現在テントが家にないなら、いざという時の備えに一つ持っておいてもいいんじゃない?」
 という程度にはお勧めできる。

 大した品ではないと知りつつ弁護してしまうのは、私の中に懐かしの「テント型ブルーシート」への愛着が、まだ少しばかり残存しているせいかもしれない……

 私の初代テントは、遍路の途上で「行方不明」という結果に終わった。
 二代目はさすがにもう少しマシなのを買おうということで、一応アウトドアメーカーのものを購入した。
 現在でも、仕様は多少変わっているようだが、同等製品は販売されているようだ。


●LOGOS ツーリングドーム

 一人用テントとしては十分な品質で、さほど高価でもなく、収納時の体積・重量も、なんとか背負って歩ける程度。
 私の遍路旅には条件がよく合っていたので、けっこう長く使っており、今でも使用可能。
 フライシートの面積が小さいので結露はあるが、ソロテントの定番の一つではないかと思う。

 ただ、私の熊野遍路が回数を重ね、経験値があがってくるにつれ、テントを担いでいく頻度は徐々に減っていった。
 各地の快適な「野宿ポイント」がわかってくると、「屋根」の必要性が減ってきて、寝袋とブルーシートがあれば大体事足りることが分かってきたためだ。
 このあたりは本格的な「登山」と違い、人里からあまり離れることがない「遍路」の特徴だ。

 考えてみれば、昔のお遍路さんも、基本は野宿だったことだろう。
 それで野垂れ死にした人も多かっただろうけれども。

 死なない程度になるべく昔の人に近い遍路を志す私は、なるべく荷物を少なく、シンプルにする方向に進んできた。
 そんな私にぴったりな装備を、最近一つ見つけた。

 以下、次回。

【追記】
 上の方で紹介した「テント型ブルーシート」だが、写真整理をしていたら、何枚か撮っていたものを見つけた。

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 もう20年ほど前になるか、私がはじめて所有し、すぐに失ったたテントだ。
 この写真を見ること自体が10年以上ぶりだと思う。
 構造などは全く忘れてしまっていたが、写真から判断すると一応ドーム型で、ポール1本ペグ4本で固定するタイプのようだ。
 自立はしないだろうが、とにかく軽そうだ。おそらく1.5キロ以下だろう。
 まだアウトドア初心者の頃で、夜中に雨漏りして途方にくれたのも、今はいい思い出だ……

2013年01月23日

遍路・防災・アウトドア 7

 テントの種類別の中に「ツェルト」というものがある。
 緊急時用の小型・軽量テントというほどの意味だ。
 防水加工された生地で出来ており、荷物にならないのでお守り代わりに携帯する登山者も多い。
 形状は様々だが、立木や登山用ストックを利用して設営したり、単純に体を覆って風雨や寒冷から身を守る装備だ。
 私がこれまで行ってきたのは、あくまで人里近くの「遍路」が主目的で、その経路の中に山が含まれている場合は登るという程度だった。
 山が含まれる場合も標高はせいぜい1000メートル程で、本格的な登山と言うほどにはなかなかならなかったので、ツェルトの必要性はさほど感じていなかった。
 一時期は前回記事で紹介したようなソロテントをよく持参していたが、だんだん現地の様子がわかってくると、主に夏季の旅だったこともあり、小型の寝袋とブルーシートくらいで十分寝泊りできるようになった。

 ところが最近になって、以下のような製品を見つけてしまった。


●mont-bell カモワッチテンチョ

 一見して「なんじゃこれ?」と思った。
 名前のとおり、テントとポンチョ兼用のブツだ。
 上掲のamazonのリンクに跳んでもらえば使用時の画像が見られるが、テント時はともかくとして、ポンチョ使用時の姿はけっこうショッキングである。
 なんと言うか、どこかの山岳民族風と言うか、妖怪風と言うか……
 mont-bellの製品にしては、なんとも謎のルックスである。

 気になって「テンチョ」で検索してみると、このポンチョ使用時のルックスは、あちこちでネタ扱いされていることがわかった(笑)
 ネタ扱いされながらも、わりと愛されている製品であることも。
 
 しばらく迷ったあと、結局購入してしまった。

 私個人としては、かなり使える装備であると思っている。
 但し書きに「私個人としては」とつけているのは、サイズの問題である。
 amazonnのレビューにも書いてあるが、まさに「帯に短し襷に長し」という言葉を体現したような装備である。
 正直、テントとしては小さく、ポンチョとしては大きい。
 設営してみると、こうなる。

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 写真ではテント内にポールで建てているが、頂点部分にロープをかけて木から吊るすこともできる。
 底面はペグ三本で固定。
 さすがmont-bell、ペグは軽くて良いものが付属している。
 ドーム型テントのようにペグなしで自立はしないので、屋内や舗装の上では設営不可だ。

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 立体としては「四面体」で、一昔前の牛乳テトラパックに似ている。
 底面は200cm-200cm-260cmの、ほぼ直角二等辺三角形で、高さは120cm。

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 ポールは付属していないので、120cmくらいまで伸びる登山用ストックか、立木から頂点を吊るすためのロープが別途必要だ。
 写真では実験のために百均の自在ポールを使用しているが、いつも遍路で使っていた金剛杖も120cmに近い長さだったので使用可能だった。
 あと、底面部分は布地がないので、何らかのシートも必要だ。

 写真撮影時はかなり強風が吹いていたのだが、強度は特に問題なく、中に入ってみるとけっこう快適だった。
 私は小柄な方なので体を伸ばして寝ころぶこともできたが、大柄な人はかなりきついだろう。
 底面200cm-200cm-260cmという数字だけ見れば、身長2mくらいでも寝ころべそうに感じるが、なにせ形状が三角錐である。
 各頂点付近は鋭角にすぼまっていて、小物を置く以外に使えない空間になっているのだ。
 ポールで建てると狭いテントの真ん中に障害物ができる問題もある。
 ちなみにmont-bellのサイトでは、スペック上は「座った状態で三人収容可能」と言うことになっているが、さすがにちょっと無理があると思う。

 ツェルトとしては価格が安い方だが、重さは560gで、収納サイズもそこまで小さくはない。
 しかし、リュックを背負ったまま被れるポンチョとしても使用可能なので、雨具+ツェルトと考えるならば重さも収納サイズもとくに問題はない。

 私が遍路を行うのは主に夏季なので、このテンチョとサバイバルシートがあれば、寝袋を持つ必要はなくなりそうだ。
 
 いろいろ検討した結果、「小柄な私が遍路で使うにはピッタリの装備である」という結論に至った。
 万人にお勧めできる製品ではないが、使い方次第では活きるツェルトだと思う。


 特異なルックスになるので、街中で雨具として使うのはムリだが……

2013年01月29日

遍路・防災・アウトドア 8

 私のアウトドアは「遍路」が主目的で、経験を重ねるごとに徐々に荷物を減らし、テントはあまり持たない方向に進んできた。
 快適に「歩く」ことに重点を置いた結果、そうなった。
 しかし「キャンプ」もやっぱり好きだったので、移動を目的とせず、テントを張ってのんびりするアウトドアも、それはそれで遍路とは別に楽しむようになった。
 
 テントはこの十年程の間にも、様々な新製品がかなり出た。
 近年では「前室」という概念が、けっこう人気になってきているようだ。

 テント内部の快適さを考える場合、重要になってくるのは通気性と断熱性だ。
 その両方を確保するために、特にドーム型テントは「インナールーム」と「フライシート」の二層構造になっているものが多い。
 居住空間であるインナールームにかぶせるフライシートを出入り口方向に延長して、インナーの他にもう一つ風雨を防ぐ空間を確保するのが「前室」だ。
 前室にはインナールームほど断熱性はなく、地面もそのままだが、荷物や靴を置いたり、雨天時に簡単な調理を行ったりするのに非常に便利だ。
 いざという時には前室にもう一人寝ることもできる。

 この「前室」付きのドームテント、前から何かに似ていると思っていたのだが、最近答えに気づいた。
 亀甲墓にそっくりなのだ。
 私の持っている前室付きドームテントは以下の製品で、盛り上がった本体のドーム天井から腕のように二本のフライシートが伸びている様子や、その間から中に入りこむ構造が、沖縄の古いお墓によく似ているのである。


●キャンパーズコレクション バックパックドームテント2
 非常にコストパフォーマンスの高い前室付きドームテントだ。
 インナーには大人二人が余裕で寝られるし、前室もけっこう広い。
 私の場合は通常のキャンプ以外にも、野外イベント型で宿泊ありのフリーマーケットで使用することを想定している。
 前室空間をオープンにしてグッズを並べれば、雨が降ってもフライシートでさっと覆い、自分はインナーに避難してしまえばいいので便利だ。
 本体重量は3.8sで担いで持ち運ぶには重いが、キャリー使用を考えればさほどでもない。
 この広さの製品の中ではかなりコンパクトな方だ。
 付属のペグがずっしり重く大きいので、これを小型軽量のものにとりかえればかなり使いやすくなる。


●アライテント ステックペグ
 一本10gで、おもちゃみたいに見えるがちゃんと使えるペグだ。
 90年代半ばの私が遍路を始めて間もなくで、まだ登山ショップなどにもほとんど行ったことがない頃、やや緊張しながら専門店に入ると、店員さんがけっこう親切に荷物の軽量化の相談に乗ってくれた。
 そのときに教えてもらった工夫の一つが「ペグを軽いものに買い替えること」だった。
 テント自体の小型・軽量化を追求すると高価なものを購入する他ないのだが、安価なテントの場合は付属のペグがかなり大きくて重いスチール製の場合が多いので、それを買い替えるだけでもけっこう荷物を軽くできるとのこと。
 ペグだけ買えば安上がりで、貧乏な私にもさっそく実行できる工夫だったので、助かった覚えがある。
 それ以来、私は専門店に入ったときには、店員さんには遠慮なく色々質問してアドバイスをもらうようにしている。


 のんびりキャンプを楽しむ場合には「前室」付きテントがお勧めだ。

2013年01月30日

遍路・防災・アウトドア 9

 この「遍路・防災・アウトドア」の最初の記事で、常時持ち歩くことを心がけている防災グッズを以下のように紹介した。

1、ポケットラジオ(AM、イヤホン必須)
2、小型LEDライト(ソーラーまたは単三・単四乾電池式)
3、着火ライター(ボディが透明でガス残量のわかるもの)
4、コンパス(とにかく使えればよし)
5、サバイバルシート
6、ペットボトル、新聞紙
7、ナイフ

 いずれもさほど荷物にならないものばかりである。
 1〜5については、安価なもので良いので使用可能な状態のものを一式揃えておくと、当面のサバイバルには事足りる。
 6については、その日買った新聞やペットボトル飲料を、用が済んだあとも次のものを買うまで捨てずに持っていれば、いざというとき何かと役立つ。
 問題は7の刃物である。
 以前はよく小型の十徳ナイフを持ち歩いていたが、最近の治安の悪化にともない、刃物に関する取り締まりがじわじわ厳しくなってきている。
 そもそもアウトドアに刃物を使う場合でも、缶切りが必要な缶詰が少なくなってきたこともあり、カッターナイフ一本あればたいていの用は足りるようになってきていたので、普段十徳ナイフを持ち歩く機会はほとんどなくなっていた。
 だから緊急用でも、しっかりした作りのカッターナイフ一本あれば、とりあえずはOKだと思う。(百均のカッターナイフは、切れ味は問題ないが、刃がぐらつくものが多いのでお勧めしない)
 個人的には、アウトドアでもプライヤー(ペンチ)を必要とする場面が多いと感じるので、最近は以下タイプのものをよく使っている。


●GERBER ベア・グリルス コンパクト マルチツール
 実用に耐えるぎりぎりの小ささで、ペンチやナイフ、ドライバーなど使用頻度の高い機能がそろっているのが良い。とくに「波刃」はロープ切断に非常に便利だ。


 ここまで、アウトドアや防災に関する様々な製品について、私なりに紹介してきた。
 他にもまだ研究中のものがある。
 LEDランタンやキャリーカート等については、また時をあらためて考えてみたいと思っている。

 今回は、このあたりで一旦おしまい。