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2013年01月07日

お似合いの相方

 度々書いてきたが、民族音楽が好きだ。
 必然的に民族楽器、とくに弦楽器に興味が向く。
 旅行に出かけるとお土産物屋さんでは各種玩具楽器に目が行くし、エスニック雑貨の店では最初に楽器のコーナーに足を向ける。
 楽器屋でも民族楽器や手作り楽器のコーナーがないか、まず見回してしまう。
 実際に購入に至ることは少ないのだが、小型で手頃な値段の気に入ったものがあれば、ついつい買ってしまうこともある。

 弦楽器と言えばやっぱりギターだ。
 中高生の頃から、よく鳴らして遊んではいた。
 「演奏」や「練習」ではなく、あくまで「鳴らして遊ぶ」程度なので、ギター弾きの友人にちょっと教えてもらったり、部室などに放置されている古いギターを手にとってみたりしていた。
 楽器全般の中で言えば、ギターはけっこう難易度の低い部類に入る。
 もちろん本格的に演奏するのにはそれなりの練習期間が必要だろうけれども、好きな歌を口ずさむ時にちょっと伴奏をつけてみるくらいなら、手にとって遊んでいるうちに誰でもそこそこできるようにはなれる。
 私はその程度の楽しみ方で十分だったので、よく手にとって遊んでいる割には、ながらく自分のギターも持たないままでいた。
 初めて自分のギターを持ったのは二十代半ばを超えてからだった。
 それは単純にその当時「気軽に手にとって遊べるギター」が身近になくなってしまったからで、あらためて練習し直してみようと一念発起したわけではなかった。
 たまたま立ち寄った楽器屋で、小型で安く、そこそこ弾けそうだが半分オモチャみたいなギターを衝動買いしたのだ。
 そもそも真剣に練習する気がないので、あまり良いギターを買ってしまうと、そのギターにたいして失礼な気がしていた。
 それからも私は、ギターとはつかず離れず、下手糞なりにたまに手にとって好きな歌を口ずさんだり、「お経に伴奏をつけるとしたらこんな感じか?」と確かめてみるのに使ったりしていた。
 そんな経験が当ブログでも時折やっている音遊び につながっている。

 ずっと時は流れて二年前、久々にギターを買った。
 通りかかった楽器店の店先で見かけたその「それ」は、はじめギターには見えなかった。
 中東あたりの細身の民族弦楽器のような感じがして、「ん? 珍しいのが置いてあるな」と覗き込んでみたのだが、弦の数やフレットの様子から見るとどうやらギターのようにも見える。
 値段は確か7000円ほどで、これも何かの間違いじゃないかと思うくらい安かった。
 少し迷ってから店に入り、恐る恐る店員さんに聞いてみた。
「あの〜、あそこに置いてあるのはギターなんですか?」
 お店の人は「待ってました!」という雰囲気でにやっと笑いながら答えてくれた。
「そうそう、ギターですよ。安いんですけど、値段の割にはこれがけっこうイイんですよ!」
 一部で評判になっているらしく、実際に触らせてもらいながら色々話を聞かせてもらった。
 下の写真が、問題のギターである。
 
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 写真では「小ささ」が伝わりにくいと思うが、一応比較のためにA4サイズのスクラップブックを並べてある。
 茄子みたいな形をしたボディーはほとんどウクレレのようなサイズだが、こうしたミニギターとしては珍しく、レギュラースケールである。
 つまり、左手に関して言えば通常のギターと全く同じ感覚で弾ける。
 ノーブランドだが、音程はそれなりにしっかりしており、オモチャではなく十分楽器レベルだ。
 
 ただ、ボディーが異様に小さいので重量バランスが悪く、ストラップを装着しないとネック落ちする。
 右手に関して言えば普通のギターとは全くちがう構え方をしなければならない。
 もちろん、音は低音がほとんど響かず、軽い(悪く言えば薄っぺらい)。

 そういうマイナス点はあるものの、値段を考えるとコストパフォーマンスは抜群に高い。
 小さく軽いので持ち運びには極めて便利で、付属のソフトケースに収納しているとまずギターには見えない。
 小さいだけではなく幅が細いので、更衣室の細長いロッカーなんかにも余裕で収納できる。
 音の小ささは、楽器の性能としてはマイナス要素だが、自宅練習用にするならむしろ長所にもなる。
 たとえば夜間でも、指弾きなら隣室にほとんど聞こえない程度にできるので、けっこう人気なのだそうだ。

 話を聞くうちに、なんだか私程度のギターの楽しみ方にぴったりな楽器のような気がしてきた。
 特長的で好みの分かれそうな形状も、もともと民族楽器好きの私にしてみればまったく問題ない。
 で、ついつい購入してしまった。

 それ以来、手元において息抜きに遊び続けている。
 今まで手にしたギターの中では一番弾きやすく気軽に手を出せるので、長年の下手っぴギターも、ほんのちょっとだけマシになったような気がする(笑)
 荷物にならないので反原発デモの鳴り物にも、よく持って行っている。



 一部で人気だったというこのギター、今現在は入手困難になってしまっているようだ。
 興味のある人は「tinyboy tt-40」で検索してみると、中古品ならまだ見つかるかもしれない。
posted by 九郎 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 音遊び | 更新情報をチェックする