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2013年01月23日

遍路・防災・アウトドア 7

 テントの種類別の中に「ツェルト」というものがある。
 緊急時用の小型・軽量テントというほどの意味だ。
 防水加工された生地で出来ており、荷物にならないのでお守り代わりに携帯する登山者も多い。
 形状は様々だが、立木や登山用ストックを利用して設営したり、単純に体を覆って風雨や寒冷から身を守る装備だ。
 私がこれまで行ってきたのは、あくまで人里近くの「遍路」が主目的で、その経路の中に山が含まれている場合は登るという程度だった。
 山が含まれる場合も標高はせいぜい1000メートル程で、本格的な登山と言うほどにはなかなかならなかったので、ツェルトの必要性はさほど感じていなかった。
 一時期は前回記事で紹介したようなソロテントをよく持参していたが、だんだん現地の様子がわかってくると、主に夏季の旅だったこともあり、小型の寝袋とブルーシートくらいで十分寝泊りできるようになった。

 ところが最近になって、以下のような製品を見つけてしまった。


●mont-bell カモワッチテンチョ

 一見して「なんじゃこれ?」と思った。
 名前のとおり、テントとポンチョ兼用のブツだ。
 上掲のamazonのリンクに跳んでもらえば使用時の画像が見られるが、テント時はともかくとして、ポンチョ使用時の姿はけっこうショッキングである。
 なんと言うか、どこかの山岳民族風と言うか、妖怪風と言うか……
 mont-bellの製品にしては、なんとも謎のルックスである。

 気になって「テンチョ」で検索してみると、このポンチョ使用時のルックスは、あちこちでネタ扱いされていることがわかった(笑)
 ネタ扱いされながらも、わりと愛されている製品であることも。
 
 しばらく迷ったあと、結局購入してしまった。

 私個人としては、かなり使える装備であると思っている。
 但し書きに「私個人としては」とつけているのは、サイズの問題である。
 amazonnのレビューにも書いてあるが、まさに「帯に短し襷に長し」という言葉を体現したような装備である。
 正直、テントとしては小さく、ポンチョとしては大きい。
 設営してみると、こうなる。

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 写真ではテント内にポールで建てているが、頂点部分にロープをかけて木から吊るすこともできる。
 底面はペグ三本で固定。
 さすがmont-bell、ペグは軽くて良いものが付属している。
 ドーム型テントのようにペグなしで自立はしないので、屋内や舗装の上では設営不可だ。

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 立体としては「四面体」で、一昔前の牛乳テトラパックに似ている。
 底面は200cm-200cm-260cmの、ほぼ直角二等辺三角形で、高さは120cm。

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 ポールは付属していないので、120cmくらいまで伸びる登山用ストックか、立木から頂点を吊るすためのロープが別途必要だ。
 写真では実験のために百均の自在ポールを使用しているが、いつも遍路で使っていた金剛杖も120cmに近い長さだったので使用可能だった。
 あと、底面部分は布地がないので、何らかのシートも必要だ。

 写真撮影時はかなり強風が吹いていたのだが、強度は特に問題なく、中に入ってみるとけっこう快適だった。
 私は小柄な方なので体を伸ばして寝ころぶこともできたが、大柄な人はかなりきついだろう。
 底面200cm-200cm-260cmという数字だけ見れば、身長2mくらいでも寝ころべそうに感じるが、なにせ形状が三角錐である。
 各頂点付近は鋭角にすぼまっていて、小物を置く以外に使えない空間になっているのだ。
 ポールで建てると狭いテントの真ん中に障害物ができる問題もある。
 ちなみにmont-bellのサイトでは、スペック上は「座った状態で三人収容可能」と言うことになっているが、さすがにちょっと無理があると思う。

 ツェルトとしては価格が安い方だが、重さは560gで、収納サイズもそこまで小さくはない。
 しかし、リュックを背負ったまま被れるポンチョとしても使用可能なので、雨具+ツェルトと考えるならば重さも収納サイズもとくに問題はない。

 私が遍路を行うのは主に夏季なので、このテンチョとサバイバルシートがあれば、寝袋を持つ必要はなくなりそうだ。
 
 いろいろ検討した結果、「小柄な私が遍路で使うにはピッタリの装備である」という結論に至った。
 万人にお勧めできる製品ではないが、使い方次第では活きるツェルトだと思う。


 特異なルックスになるので、街中で雨具として使うのはムリだが……