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2013年05月02日

おりがみ「三宝荒神形張懸兜」

 もうすぐ端午の節句。
 当ブログでは毎年この時期に、おりがみ兜を折って紹介しています。

 今年のネタは上杉謙信所用と伝えられる「三宝荒神形張懸兜」。
 頭の上に荒神張子面を三面あしらった異形の兜です。
 実物の写真は「上杉謙信 兜」「三宝荒神 兜」などのキーワードで検索すると、すぐに見つかると思います。

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 おりがみ雑賀鉢でも土台に使った兜の折り方を基本に、三面を作って貼りつけてあります。

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 後ろから見たところ。
 実物は三面それぞれが違う色なのですが、今回はおりがみ作品ということで単純化してあります。

 荒神面のおりかたの土台にしたのが、以下の本に載っている「般若」です。


●「復刻版おりがみ-基本から創作まで」河合豊彰(カラーブックス)
 おりがみ師・河合豊彰の名著中の名著の復刻版。
 初心者から上級者まで、伝承から創作まで、一冊に詰め込まれた濃密なおりがみ世界が堪能できます!
posted by 九郎 at 23:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 紙(カミ) | 更新情報をチェックする

2013年05月05日

雛形工作:プラ鉢鎧兜

 もともと男子として人並みに戦国時代は好きだったのだが、2007年頃からあらためて戦国、中でも雑賀衆の活躍した石山合戦にハマっている。
 同時にガンプラ世代でもあるので、「いずれ自作甲冑を作って身につけてみたい」という欲望も、ざわざわと蠢き始めていた。
 どうせ作るならハマっている雑賀衆が身につけた雑賀鉢をと考え、ぼちぼち資料集めや自作甲冑のノウハウを調べ続けてきた。
 ネットで情報を渉猟していると、鎧兜の自作にも色々「流派」があり、素材も本物と同等のものから、アルミ板やプラ素材、ボール紙など様々であることが分かってきた。

 では、自分ならどう作るか?

 自問しながら、ホームセンター等に行った折には素材を物色し続けてきた。
 思案のしどころは、兜や胴の曲面をどう成型するかということだ。
 基本的には平面である素材から、どのように自然な曲面を出すか、様々な流派の皆さんも、その課題をクリアーするために試行錯誤を重ねているようだ。
 
 ある日、ホームセンターの園芸のコーナーを通りかかった時に、インスピレーションは訪れた。
 プラ素材の植木鉢が並んでいる棚の前で、私はハッと立ちすくんだ。
 棚に並ぶ大小の植木鉢と二重写しになって、兜や胴が並んでいる武器庫の映像が見えたのだ!(←本当!)
 その日から私は、ホームセンターや百均の園芸コーナーを通りかかるたびに、植木鉢を頭にかぶってみたり腹に当ててみたりする不審人物と化したのだった……

 プラ植木鉢から甲冑がなんとか作れるかもしれないという着想は得たものの、実際に作ってみると、いくらでも問題は出てくるだろう。
 自分が身につけられるような「等身大」の前に、一度小サイズの雛形を試作してみようと思い立ったのが約半年前。
 小サイズなら、百均で手に入る範囲の大きさの植木鉢で制作可能なので、材料費が抑えられる。

 試作雛型とはいえ、どうせ作るなら、幼児くらいなら身につけられそうなものを……
 などと妄想しながらでっち上げたのが、以下の鎧兜。

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 飾っている状態の全高は約60cm。
 実際作ってみた感触を確かめるための雛形なので、とりあえず兜と胴だけ最低限のパーツ点数で組んである。

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 各種植木鉢の曲面の形状を利用して切り貼りし、塗装後、紐でつなぐ。
 プラ系素材なので、成型も塗装も昔馴染みのプラモ制作技術で事足りる。
 リアルな再現模型ではなく、あくまで「工作」のレベルではあるが、それなりに雰囲気のあるものが完成したと思う。
 材料費だけなら2000円以下。
 等身大で作るとしても、5000円は絶対かからないだろう。
 工具も特別なものは必要なく、多少精度の高いノコギリや、サンドペーパーなど、一般的なものがあれば十分だ。
 ただし、穴あけがかなり手間なので、小型のもので良いから電動ドリルはあった方がいいだろう。
 私の場合は、ちょうど手持ちのドリルがなかったので、近所のホームセンターで一番手軽だった1500円ほどのものを購入して間に合わせた。


●AC100V ミニ ドライバー
 本格的な工具とは言い難いが、日常的な穴あけ、ネジ締めなどには十分で、コード式。
 今回の「あまり厚くないプラ系素材の穴あけ(ただし、穴の個数はやたらに多い)」というような用途には全く問題なく使用できた。

 プラスチック植木鉢の組み合わせで鎧兜型っぽい代物を作れることは実証できたので、後は細部の作りこみや仕上げ次第で、もっとリアルにしていけると思う。 

 うむ。
 一応、コツはつかんだ。
 次は「等身大」か?
 例によって、いつになるかはわからないが……
posted by 九郎 at 00:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 和歌浦 | 更新情報をチェックする

2013年05月20日

プラ鉢鎧兜 制作覚書

 前回記事にコメントをいただいたので、もう少し詳しい作り方の紹介を。

 まずは参考資料。


●「図説・戦国甲冑集―決定版」伊沢昭二(歴史群像シリーズ)
 解説だけなら他にもっと正確な本があるだろうけれども、有名どころの戦国甲冑がひとまずはカラー写真で網羅されており、価格もそれほど高くない。
 何よりもこの本のいいところは、武将クラスの甲冑とともに、足軽具足が着用の仕方の連続写真とともに相当数収録されているところ。
 単なる鎧兜写真集ではなく、構造や着用の仕方が理解でき、簡単な甲冑の変遷史も収録されている。
 戦国甲冑の自作に関心のある人が、最初の一冊として選ぶのに適当だと思う。

 雑賀鉢については、雑賀衆自体がマイナーな存在なので、あまり資料は見つからないと思う。
 貴重な雑賀鉢の実物映像が、動画サイトにアップされている。
 精緻な細工を施された、これぞ雑賀鉢という逸品。




 再現されたものとしては、以下の動画がお勧めだ。



 動画の山口監督は素晴らしいモデラーでもある。
 ああ、ここまでカッコ良く作れればいいなあ、と憧れを抱いてしまう。
 地道に精進、精進。


 極上の逸品と、極上モデルの動画を見てもらったあとではちょっと恥ずかしいのだが、一応わが工作「プラ鉢鎧兜」の制作法も、簡単に紹介しておこう。
 とにかく「プラ鉢で鎧兜に見えるものを、なるべく簡単な手法ででっち上げる」ことを目指した工作である。
 最初は、側面部分に使う100均の植木鉢を、以下のようにのこぎりでカットすることから始まる。

 
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 細工用やまわしびきノコがあると便利だ。
 100均の植木鉢は素材がかなりペラペラで安っぽいのだが、工作素材としてはその方がむしろ使いやすい。

 次に、雑賀鉢の特徴的な頭頂部「置手拭」の部分。
 大きさや形状からぴったり使えそうなものを根気よく探し(実はこうした素材探しの時間が、制作よりもはるかに長い)、写真のようにカットする。

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 横から見たところ。

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 最初にカットした側面部分と付き合わせながら、ぴったり合うように接合面をカットする。
 プラ鉢の切断面だけでは弱いので頭頂部裏面にガイド板をぐるりと一周付け、瞬間接着剤で固定。乾燥したら樹脂を流し込んで隙間を埋めれば強度的にも問題なし。

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 前方の「眉庇」凹凸部分は、曲面に馴染むように、側面に使用したのと同じ鉢から切り出し、重ねて接着する。ふちの部分はエポキシパテで盛り上げてある。
 眉庇左右に張り出した吹き返しの部分は、電熱器で加熱したあと、ペンチで曲げる。
 頭頂部の「トゲ」は、ドリルで一列に穴を開け、小さなボルトを裏からとめ、それを芯棒にしてエポキシパテで成形。
 各所の「鋲」は、ドリルで穴を開けたあと、エポキシパテの小片を詰め込んで作ってある。見た目を整えているだけなので、強度とは全く関係がない。
 トゲと鋲は、単に接着しただけではすぐに外れてしまうので、穴あけの作業工程は必須だ。
 しころの部分は、側面より一回り大きな浅鉢から切り出し。今回は最低限の三段。

 続いて胴の部分。

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 いくら小サイズの雛形とはいえ、さすがに100均の植木鉢では適当なサイズのものが見当たらなかったので、ホームセンターで600円くらいのものを購入。
 表面には微妙に凹凸模様が入っていたが、これは胴の部分としては不自然ではないのでそのまま活かすことにする。
 ホームセンターの鉢は100均のものより素材が分厚く、多少切断には手こずるかもしれない。ただ、こういう丸いものを切る場合には電動工具が使いにくいので、意外と手動ノコギリの方がやりやすかったりする。
 武将クラスが身につけるような本格的な鎧は構造が複雑なので、今回はごく簡単な足軽胴をを参考にしている。背面の装甲も省略し、剣道の防具程度のつくり。

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 肩と腰周りの装甲は、100均の植木鉢やバケツ等の中から、適当な曲面のものを探して使用。

 塗装は一応シルバーとつや消し黒のスプレーで二重にしてあるが、あくまで「飾る」ことが前提。
 コスプレ等で「身につけて動く」なら、もっと塗膜の強度が必要なので、
1、表面のサンドペーパーがけ
2、サーフェイサー吹き付け
3、塗装
 という手順を踏んでおいたほうが良いだろう。

 大人が身につけられるような等身大も、基本的には同様の作業工程で作ることができると思う。
 精密な「再現モデル」は難しいと思うが、市販の植木鉢の形状をうまく利用して、なるべく手を抜きながら作りたい鎧兜の形状に近づけていく「工作魂」でことに当たれば、なんとか完成に持っていけるはずだ。
 お店で大の大人が植木鉢を被ったり腹に当てたりする不審な行動も(監視カメラの向こうの警備係の皆さんはさぞキモかったと思うが)、とくに職質されることもなく見逃してもらえた(笑)

 今回はここまで。
posted by 九郎 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 和歌浦 | 更新情報をチェックする

2013年05月21日

遍路・防災・アウトドア 12

 今回のお題は登山用ストック。

 私のアウトドアは登山というよりは遍路が中心だったので、これまでは金剛杖ばかり使っていて、登山用ストックは持っていなかった。
 金剛杖は玉置山と高野山で購入した大小二本を、気分によって使い分けていた。

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 遍路中は「自分は遍路をやってますよ」という名刺がわりに金剛杖をついていると、人里近くで野宿をしたり水を分けてもらう時など、なにかと都合が良い。
 
 ただ、遍路以外の普通の登山や日常使用になると、ちょっと使いづらい。
 そもそも金剛杖は浮世を離脱するためのアイテムなので、日常風景に全く合わない。
 半年位前ぎっくり腰をやってしまったとき、「ああ、こんな時に登山用ストックがあったら便利だなあ」と思った。
 立ったり座ったりの度に走る腰の痛みに、「いっそ金剛杖持ち歩くか?」という考えが頭をよぎったのだが、カタギの職場で梵字が書き込まれた杖をつくのは、有り無しで言えば確実に「無し」だ。
 その頃から、ぼちぼち登山用ストックの物色を始めていた。
 ストックを購入するのは初めてなので、とにかく手頃なものを使い潰してみるつもりで選んだのがこれ。


●キャプテンスタッグ トレッキングステッキ M-9842
 お値段きわめて安く、それなりに軽量、それなりにコンパクト。
 少し使ってみたが、今のところ機能にはとくに問題ない。
 ただ、アマゾンのサンプル写真は色合いがかなり暗めで、実物の印象とは違っているので少々注意。
 写真のように全体に黒い感じではなく、グリップ部分は明るいコルク調、本体も明るいシルバーだ。

 登山用ストックには大きく分けて片手持ちと、両手二本持ちの二大流派があって、最近の主流は短めのT字型ストックを両手に持つスタイルのようだ。
 私は金剛杖(もちろん一本)に慣れているのと、以前紹介した簡易テントのポールとしても使用したかったので、シングル仕様で120cmまで伸びる本品を選んだ。

 GWに一度このストックとテンチョで、どんな感じになるか試してみた。


●●mont-bell カモワッチテンチョ

 120cmでぴったりいい感じに張ることができる。

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 グリップ部分がテントの頂点に当たるため、T字型ストックだと使いづらいだろう。
 
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 テンチョにはシートが付属していない。
 たまたまホームセンターで似たような迷彩柄でサイズも合っているものを見つけたので、合わせてみる。

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 雨具として使えるテンチョに、シート+サバイバルシートなどの断熱性のあるものを合わせてもたぶん1kg前後。
 ストックを120cm前後の金剛杖に置き換えることも可能なので、夏季の遍路なら、野宿装備はこのあたりを基本に考えると軽量にまとまりそうだ。