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2014年06月18日

ご飯への愛ゆえに、我は糖質制限す

 この一年あまりの減量を通じて得たものの中で一番大きかったことは、食に対する意識の変化、とりわけ炭水化物に対する新しい認識だったのではないかと思う。
 現在日本で推奨されている健康食の内容は、おおよそ「炭水化物を中心にした、カロリー控えめ、低脂質な食事」という風に要約することができるだろう。
 とくに、生活習慣病の代表格である2型糖尿病治療では、スタンダードなのは食事療法と投薬であり、その食事内容として推奨されているのが上記のような「糖質中心」のものになっている。
 ところが、こうした食事内容はきわめて効果が疑わしい。
 そうとうな我慢と無理を重ねて「粗食」に耐え、一生懸命運動に汗をながしても血糖値は大して下がらず、結局投薬だのみになってしまいがちだ。
 減量前の私がまさにそうだったのだが、そもそも食の好みが「炭水化物を中心とした低カロリー低脂質」で、さほど分量も食べていないにも関わらず、体重の微増傾向がずっと長く続いた結果、糖尿病予備軍のようになってしまっている場合も多いのではないかと思う。
 これは、一般に推奨されている「炭水化物中心の食事こそが健康食」という大前提自体に問題があるのではないかと考えるのが、ごく自然な論理の流れになる。

 肥満や成人病の「主犯」は、カロリーや脂質ではなく、糖質なのではないか?
 糖質をとりすぎて病的な状態になったら、その原因に対して制限を行うのがもっとも効果的ではないか?
 まだ病的状態にない場合でも、主食である炭水化物を含めた「糖質」の摂取割合は、もっと低く抑えるべきではないか?

 そのような発想で、投薬になるべく頼らない糖尿病治療や、我慢の少ない減量法としての「糖質制限」が、今話題になっている。
 私自身もこの一年あまり、無理なく可能なごく緩めの制限(糖質1/3〜1/2程度カット)を実践してきて、体重がもっとも重いときより12キロほど減り、二十才前後の状態に戻すことができた。
 やってみれば効果が速やかにあらわれて疑問の余地がないので、今後ますます糖質制限という考え方は広まっていくだろう。


 私は昔から糖質が大好きだった。
 好きな食べ物第一位はおにぎりだったし、ご飯と、それによく合う簡単なおかずがあれば食事に関して満足で、おやつに美味しい和菓子でも少量あれば、もうなんの文句もなかった。
 今でも、そうした食の好みは変わっていない。
 しかし、私も含めてそうした「糖質大好き人間」の中には、かなりの割合で無自覚な糖質摂取が毒になる体質の者がいる。
 別に美食や過食に溺れているわけではなく、一般に言われている「健康食」に近い分量の糖質摂取であっても、成人病やその予備軍になってしまう層が少なからず存在する。
 これは体質の問題であって、当人が性格的に食事に関してだらしないかどうかなどということとは、一切関係がない。
 摂取した糖質を体脂肪として蓄積しやすい体質というのは、例えば江戸時代の農民として生まれたならば、飢餓に強い優れた資質にだったかもしれない。
 しかし残念ながら現代は、人類史上でも空前絶後の「糖質過多時代」である。
 長く続いた飢餓の時代から受け継がれた優れた資質は、裏返って毒となる。
 人は時代や場所を選んで生まれることはできないので、今を生きるには知恵をもたなければならない。

 私は糖質が大好きだからこそ、普段の摂取量を減らしてでも、病気にならずに末永く糖質と付き合う道を選ぶことにした。
 病気になってしまえば、「糖質ゼロ」レベルの制限を行わざるを得ない。
 緩めの制限で間に合ううちにはじめておけば、それだけ我慢が少なくてすむ。
 私にとっての糖質制限は、大好きな炭水化物や甘いものと、これからも無理なく付き合うための手段なのだ。

 

 糖質制限に関心のある人は、まずはドクター江部のブログをのぞいてみよう。
posted by 九郎 at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 身体との対話 | 更新情報をチェックする