アジサイの季節だ。
ブログを開設してもう十年近くになるが、極初期の頃からこの梅雨の花には注目し、毎年記事にしてきた。
小さな花が集まって一つの大きな花になり、湿度の高い空気の中で色を様々に変化させながら、濃い緑に繁る葉を背景に、木漏れ日の中無数に咲き乱れる。
そんな様がたまらなく好きで、時間があれば目星をつけたアジサイスポットを散策してしまう。
アジサイ、とくにガクアジサイが咲き乱れるのを見ていつも思い出すのが、「蓮華蔵世界」という言葉だ。
奈良東大寺の大仏様は、この蓮華蔵の世界観をベースに制作されている。
大仏様の座る蓮華座の花弁の一枚一枚には蓮華蔵世界の模式図が刻まれていて、この図は数ある日本の仏像仏画の中でも、私がとくに好きなものの一つだ。
以前に一度、このカテゴリ須弥山でも三千世界という記事でこの図を参考にしたスケッチを描いたことがある。
そして、もうお亡くなりになった仏師の西村公朝が、著書の中で蓮華蔵世界について解説し、素晴らしい図も描かれている。
●「やさしい仏像の見方」西村公朝 (とんぼの本)
私が好きなアジサイと、東大寺大仏様の蓮弁図、そして西村公朝さんの図解を参考にしながら、私なりの蓮華蔵世界スケッチを描いてみた。
このカテゴリでこれまで紹介してきた須弥山宇宙観を更に補完するものである。
宇宙に広がる虚空輪、その上には風輪が広がり、水輪が浮かぶ。
水輪の表面には金輪の膜があり、さらにその表層には海がある。
海からは大蓮華の花が伸び、大蓮華の上にはまた海がある。
大蓮華の海からは無数の小蓮華が伸びている。
それぞれの小蓮華の上にはまた海があり、その海の中心にはそれぞれの須弥山がそびえる。
無数の須弥山の上空にはそれぞれの天界が重なり、さらにそのはるか上空には盧舎那仏の世界がある。
最上層を強調すると奈良の大仏様になり、下層部分を拡大すると今回のスケッチになる。