度々書くが、緩い糖質制限をやっている。
炭水化物や甘いものはごく控えめにし、食べなくて済む時はすっぱり食べない。
しかし、元々は糖質は大好きなので、たまに息抜きする。
たまに食べたときの美味さはまた格別で、普段から糖質を摂っていた時よりはるかにおいしく感じる。
普段はそんな感じなのだが、場合によっては解禁することもある。
登山などで、長時間それなりの運動を続けるときなどだ。
山でよく使われる言葉に、「しゃりばて」と言うものがある。
長時間歩き続けてエネルギーが枯渇し、突然足が萎えたように動けなくなってしまう現象だ。
現代では「血糖値の急激な低下」というような合理的な説明がされるけれども、昔は「ひだる神が憑いた」と言って、一種の憑霊現象のように扱われたらしい。
そのまま何も口にしないと危険だが、何か(とくに糖質)をほんの少しでも食べればすぐに回復する。
私がこの「ひだる神」とか「だるが憑く」とか呼ばれる現象のことを知ったのは、たぶん水木しげるの妖怪本で紹介されているのを読んだのが最初だった。
旅の途中で餓死した人が、この妖怪になるらしいということが、水木先生の実体験も交えて説明してあったと思う。
地域で言うとこのカテゴリの熊野も「ひだる神」がよく出た所で、最近はご当地ゆるキャラになっていたりもする(笑)
興味のある人は、「だるだる ゆるキャラ」で画像検索を。
実は私も、かつて熊野遍路中に「ひだる神」に憑かれかけたことがある。
あれは確か、90年代に高野山から熊野本宮へ続く小辺路ルートを辿っていた時だと記憶しているが、山中でいきなり足がヘロヘロになり、身動きできなくなった。
すぐに「ひだる神」という言葉が浮かび、水木先生の解説を思い出して、非常用のカロリーメイトを貪った。
ちょうど折悪しく水が切れていて、パサつく口中を無理矢理飲み込んだせいで、唾液腺がひきつったようになってしまったが、なんとか回復することができた。
単独行だったので、さすがにちょっと怖い体験だった。
それ以来、山に入るときはどんなに短時間の予定でも必ず甘いものかおにぎりを携帯することにしている。
糖質制限が習慣化した今でも、それは変わっていない。