夢や眠りにまつわる事象の一つとして、または悪夢の一形態として、いわゆる「金縛り」がある。
夜半に目が覚めてみると、意識はあるのに体が動かず、非常な恐怖感にとらわれるという現象だ。
一般には、そこから心霊現象めいた体験談が始まったりするイメージが強いことだろう。
私もこうした「金縛り」を、いままでに何度となく経験してきた
経験してきた感じでいうと、こうした現象も、細部にはかなり個人差があるのだろうなと思っている。
私の場合、夜半に目が覚めて、意識はあるのに体が自由に動かないという状態から始まるのは一般的なイメージ通りだ。
体は完全に硬直してしまっているわけではなく、不自由ながらも腕を多少動かしたりすることはできるし、寝返りを打つように姿勢を変えることも、なんとか可能だ。
特徴的と思われるのは、耳元で電気的なノイズ、または金属を擦り合せているような異音が鳴り続けていることだ。
子供の頃は、この「金属音」のイメージと、「金縛り」という字面を結び付けて納得していた覚えがある。
金属音に縛り付けられるから金縛りというのだろうなと、子供なりの関連付けをしていたのだ。
また、私の記憶する最古の悪夢(「繰り返す夢」の章で紹介)に出てきた、「金属の塊」のイメージとも結びつけて捉えていたはずだ。
私にとっては頻出のこうした異音が、広く一般に「金縛り」に伴うものであるのかどうかはよくわからない。