夢を見た。
山奥の古い木造校舎。
廃校になってしまったのか、誰もいない。
ひどく古くてあちこち傷んでいるのだが、木造校舎は窓から日が差し込むと、何とも言えず明るく暖かい。
鉄筋コンクリートだとこうはいかない。
きしむ廊下を抜けて教室に入る。
壁には○や△や□や☆など、様々な図形が描かれている。
全体で何かの絵図になっているらしいが、判然としない。
しばらく眺めていると、図形の中の一つがむくむくと動きだした。
壁からスポッと抜け出して、その図形の特徴をもった小さな人間になった。
壁からは次々と図形が抜け出し、それぞれが身長数十センチの人間になる。
わらわら湧いてきた図形の小人たちは、みんな教室の席に着いた。
「これから学級会を始めます」
教壇に立った先生的な図形が言う。
「何か意見のある人」
しばらくの沈黙の後、「はーい」と図形の生徒の一人が挙手する。
「もう少し休んでいたいです」
他の図形生徒たちはその意見に、やんややんやと賛意を表す。
これでまた、何年か壁の中で休眠することが決まったらしい。
どうやら数年に一度、このような学級会を開いては、壁の中で休眠する決定だけを決めて、休み続けているらしいのだ。
学級会をさっさと終わらせると、図形たちはまたわらわらと壁の中に戻っていった。
これでは廃校にもなるな、と思った。