夢を見た。
図工の時間である。
若い女の先生の指導で、割り箸と紙の飛行機を作る。
手早く出来たので相棒と一緒に運動場で飛ばす。
一番乗りなので二人以外誰もいない。
意外に飛ぶので調子に乗って何度も飛ばしていると、紙の部分がボロボロになってしまった。
紙では弱いのでプラスチックで作り直すことにする。
これもすぐに出来たのだが、若い女の先生には良い顔をされなかった。
今回の授業はあくまで紙飛行機の工作であり、それ以外は和を乱す余計な行動だったようだ。
少し気まずい思いで、再び相棒と運動場に出る。
他に完成した者がいないのか、まだ二人だけである。
紙より少し重くなったが、プラスチック飛行機もよく飛んでくれた。
今度は丈夫なので何度飛ばしても飛び味が落ちない。
凝って作った車輪部分が折れてしまったが、ここは飛行性能と直接関係がない。
しばらく飛ばしていると、ばらばらと全校生徒が運動場に繰り出してきた。
何か行事が始まるようだが、そんな話は全く聞いておらず、戸惑う。
生徒会長の指示で、生徒たちがみんなで輪になる。
真ん中の生徒会長が「のぉのぉみぃちぃ」と声を張り上げながら、大袈裟な身振りで大股に、一音一歩で歩く。
輪になった全校生徒もそれに従い、それぞれに身振りをつけながら歩く。
会長が立ち止まるとみんなもピタッと停止し、身動き一つしない。
会長はしばらく辺りをうかがうと、再び「のぉのぉみぃちぃ」とやる。
生徒たちはみんなそれに従い、会長が止まると全員停止する。
どうやら「ののみち」という遊びであるらしいことは理解できたのだが、そんな遊びは聞いたことがなく、ルールもよくわからない。
ところが一緒に飛行機を飛ばしていた相棒にはわかるらしく、みんなの輪に入って浮かれている。
たった一人取り残され、飛行機を持ったまま、運動場の隅で呆然と立ち尽くす。
その間にも「ののみち」は進行し、生徒会長は「のぉのぉみぃちぃ」とやりながらじわじわにじり寄ってくる。
狙いをつけられたらしいのだが、意図が全くわからない。
どうやら不利な状況になりつつあるようだが、逃げ出すのも癪なので平静を装ってそのまま突っ立っている。
満面の笑みを浮かべた会長が「のぉのぉみぃちぃ」とやりながらタッチしてくる。
全校生徒がわぁと歓声を上げる。
非常に不愉快である。
居直って「こんな遊びは知らない。おれは仲間に入っていない」と叫ぶ。
しかし会長は知らぬ顔をしている。
タッチされた者はこのような反応をする決まりになっているようで、偶然それを踏襲してしまったのだ。
遊びに加わる気がないことを宣言したつもりが、逆効果になってしまった。
非常に不愉快である。
会長はくるりと後ろを向き、全校生徒がザザザザとそれに倣う。
今度はこちらが「のぉのぉみぃちぃ」という身振りで追わなければならないらしい。
そんな馬鹿な。
忍耐の限界を越えたので、持っていた飛行機を会長の顔面に投げつける。
飛行機はバラバラになり、会長はその場に昏倒する。
辺りは騒然となる。
孤立無援になってしまったが、「かかってこい」という気分で不貞腐れて突っ立っている。
文句あるか。