夢見の技術がピークに達していた二十歳前後の頃から、断続的に夢を記録・採集してきた。
見た夢をシリアスに受け取ったり、解釈を試みたりということは、基本的にしない。
ただメモにとり、スケッチを描き、形にできそうなものは残してきた。
枕元に筆記用具と紙を常備し、面白い夢を見た場合は出来る限り文章にし、スケッチを残す。
簡単なメモ書き程度でも良いから残しておくと、その夢は記憶の中から呼び返すことができる。
どんなに強烈な夢でも、すぐに記録したり、せめて頭の中で何度か反芻しておかないと、翌日午後には綺麗さっぱり記憶から消えてしまう。
どんなに印象の強い夢でもそのまま時間がたつと、夢を見たこと自体が記憶から消えてしまいがちなのは、考えてみれば不思議なことだ。
ただ、夢の記憶は完全に消えてしまうわけでもなく、ふとした瞬間に突然思い出したり、夢の中で過去の夢が続いている場合もある。
夢の意識と現実の意識にはチャンネルの違いのようなものがあって、異なった領域が使用されているような気もする。
夢から覚めたら間髪おかずにメモをとることで、夢の現実の意識の領域を繋ぐ回路にすることができるようだ。