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2016年03月05日

犬の気持ち

 夢を見た。

 とにかく犬の気持ちになってみないとはじまらない。
 ということで、校門から駅まで四つん這いで帰ることになった。
 アスファルトやコンクリート舗装が、両手両膝をゴツゴツザラザラと削る。
 痛い。
 母親に連れられた乳幼児がよたよた歩いている。
 目線の高さが同じのオレに反応し、喜んで「あう〜」とか言いながらにじり寄ってくる。

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 うるさい。
 オレにかまうな。
 重大な用事の途中なのだ。
 何とかしろと母親を見るが、ママ友とのおしゃべりに夢中で気付いていない。
 オレは犬らしく道路端を通っているのだが、すぐ横は1メートルほどの段差で、下は田んぼになっている。
 乳幼児はアホなので「あぶないなあ、落ちそうだなあ」と危機感を持っていると、案の定足を踏み外す。
 あぶない!
 とっさに両手を伸ばして抱きとめる。
 しまった。
 犬なのに手を出してしまった。
 アホな乳幼児とアホな母親のせいで、大変無念なことになってしまった。
 ようやく異変に気付いた母親が駆け寄ってくる。
 礼などを言われるが、オレは犬なのでわからないし、無関係だ。
 はやく向こうへ行け。
 乳幼児は犬であるオレが気に入ってしまったらしく、隣をよたよた歩きたがる。
 非常に不本意である。
 犬のオレのしぐさを真似て、あちこちの草を嗅ぎまわったり、電柱にこだわったりしている。
 アホなので、土を口に入れたりしている。
 オレは犬とは言ってもあくまでフリなので、そんな汚いことはしない。

 曲がり角の地蔵の所にさしかかる。
 いつのまにか地蔵の数が増えており、中には明らかにプラモが混じっている。
 仏像のプラモというのは前から欲しかったのだが、ここに混入しているものはあまりデキが良くない。
 こんなのなら要らない。
 古い街道筋で、左手が墓場になっている。
 墓場は最近リニューアルされて現代風になった。
 なんだか小奇麗な公園みたいで、ペラペラな感じだ。
 鐘もクリスマスベルみたいだ。
 こんな墓には入りたくない。
 ただ、入口付近の舗装は気に入った。
 一見普通のアスファルトだが、非常に柔らかく、手にも膝にもフワフワと優しい。
 風呂場のマットの冷たくないやつみたいだ。
 オレより先に犬として出発した友人たちも、みんなこの舗装の虜になってゴロゴロたむろしている。
posted by 九郎 at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | | 更新情報をチェックする