2016年06月18日

緊急入院顛末記3

 全身麻酔で一瞬に意識が落ち、次に目を開いたときにはもう病室に運ばれていた。
 私にとっては目を閉じて開いただけだったが、外の世界ではけっこう時間が流れていた。
 ヘルニアが戻らないままの手術はやはり難航したらしく、三時間半くらいかかったそうだ。
 あとから聞いたところでは、新人のお医者さんなんかも後学のために見に来ていたらしい。

 午後五時過ぎから手術室に入り、病室で意識を取り戻したら午後九時近くだった。
 8cmくらいレーザーメスで切り、腸をいじり回したにしては、あまり痛みは感じなかった。
 手術後はもっと苦痛に耐えなければならないのかと思っていたが、じっとしている限りは拍子抜けするくらい苦しくなかった。
 さすがに動くと痛みが出たが、酸素吸入とおしっこの管と点滴、合計三本のチューブが繋がっているので、そもそもろくに身動きはとれない。
 照明を落とし、静まり返った個室にいると、電子機器のかすかな音や自分の鼓動が入り交じって、ヒップホップのBGMみたいに聞こえてきた。
 麻酔からさめたぼんやりした意識の中、昼間診断を受けたお医者さんたちが、私のベッドのまわりでBGMにあわせてヒップホップダンスしているような、奇妙な妄想が浮かんでくる。
 手術前にヘルニアを戻そうとしたときの手付きからの連想だろうか。

her-02.jpg


(ヘルニアブラザーズ?)
 などと、やや失礼な妄想を楽しむうちに、二時間ほど過ぎた。

 午後十一時頃、ベッドごと病室を移動して四人部屋に入った。
 わりと入れ代わり立ち代わり看護師さんが出入りしている。
 眠れぬままにじっとしていると、例によってかすかに聞こえてくる電子機器の音や自分の鼓動が混じり合い、ヒップホップのBGMみたいな気がしてくる。
 うつらうつらしていると、何人か見かけた看護師さんたちが、私のベッドのまわりでBGMにあわせてヒップホップダンスをしているような……(以下略)

 寝たり覚めたり、やや失礼な妄想が浮かんだり、を見たりしているうちに、術後の夜は明けていった。
(つづく)
posted by 九郎 at 10:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 身体との対話 | 更新情報をチェックする