10月に入った。
鼠径ヘルニアでの入院騒ぎから約4か月。
まず問題なく日常生活は送れていて、普段は手術跡を意識することもなくなった。
ただ、疲労がたまっていたり、立っている時間が長く続くと、手術跡周辺に「どんより」したものを感じることはある。
痛みというほどのものではないが、ふさいだヘルニアの出入り口が、少し中から圧されている感じはする。
そういう時は無理せず休む。
少し腰を下ろしていれば気にならなくなる。
神経質に「後遺症」ととらえるよりは、体が疲れている時のアラームを手に入れたと思えばいいのだ。
一病息災とはこういうことだ。
入院騒ぎで落ちた体重、体力を戻すため、しばらく糖質制限を緩めてきた。
もともとさほど厳格な制限はしていなかったのだが、炭水化物の量を少し増やすと、てきめんに体重が微増傾向になる。
そろそろ通常仕様の糖質制限に戻そうと思っている。
そういえば、全勝優勝した大相撲の豪栄道が、「タンパク質、脂質中心、炭水化物は控える」という食事内容に変えたことで体調を好転させたらしい。
これはまさに糖質制限そのもので、血流の状態を全般に改善することで、ケガの治りを早くしたり、精神面の安定を促す効果が見込める。
このところ、一流アスリートの糖質制限の話題をよく目にするのだが、豪栄道もそんな一例になりそうだ。
とあるフリーアナウンサーが、自分のブログで人工透析患者を口汚く罵る記事をアップしたのがきっかけで、担当する番組の降板が相次いでいるそうだ。
当該記事は私も読んだ。
記事の主旨が「このままでは日本の医療が破綻する」であるという部分にはぎりぎり「理」はあるが、それぞれに事情がある透析患者を十把一絡げにあげつらって罵るなどというのは論外だ。
そもそも透析患者がみんな「医者の助言を無視して暴飲暴食を続けてきた自業自得の患者」であるとする認識がおかしい。
近年まで医者が勧める食事制限というのは「炭水化物中心の低カロリー、低脂質なメニュー」がほとんどだった。
しかしそうした食事制限をかなり厳格に守ったとしても、食事内容が「炭水化物中心」である限りは血糖値は食後必ず上昇するので、糖尿病などの循環器系の疾患には効果が薄い。
アメリカではすでに糖質制限がスタンダードな食事制限法の一つとして認められており、日本でもここ数年で急速に広まった。
私が6月に入院していた地元の市民病院でも、壁面に大きく糖質制限のやり方が掲示され、紹介されていた。
今までの食事制限の在り方が、多くの患者に対して適切でなかった可能性が高いのだ。
フリーアナウンサーとして多くの情報に触れられる立場にありながら、そうした新しい食事制限の在り方の動向を一切無視し、透析患者だけを一方的に「自業自得」と切り捨てる。
単に勉強不足では済まされる問題ではなく、アナウンサーとしての仕事を失うのは、それこそ「自業自得」ではないか。
糖質制限は、無理なく薬に頼らない血糖値コントロールを可能にする。
薬を減らすことは医療費の抑制にもつながり、全国の糖尿病患者や予備軍に広まれば、大幅な削減も見込める。
件のフリーアナの記事が、医療破綻への警鐘が主旨であったならば、そこまで調べるべきではなかったかと思った。