以下に記すのは、私が絵を描く時、特にマンダラ等の密教的な図像に着色する時の「心持ち」とでもいうべきものである。
私が個人的にマンダラの「色」に感情移入するためのもので、密教図像作成のスタンダードとは全く違うし、一般向けの色彩論ではもちろんない。
極私的な、色彩の生成に関する妄想の覚書である。
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はじめに黒と赤がある。
黒は闇であり、死であり、冷え固まった停止状態である。
赤は火であり、命であり、どろりと柔軟な血でもある。
火である赤は燃焼温度を上げて黄となり、さらに純度をあげて光の白となる。
光と熱にさらされた黒は、やや融解して青となり、グレーとなる。
青とグレーは鉱物であり、灰である。
青は光の白と交わって水を生じ、黄と交わって緑を成す。
このように生成された黒、白、グレー、赤、黄、青、緑は、またそれぞれに交わってあらゆる色や万物を創る。
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このような色彩妄想を抱くと、マンダラや密教尊を描く時に感情移入しやすいのである。