80年代初頭のガンプラ旧キット作例紹介、つづいてのネタは「グフ」である。
失策で更迭されたシャア少佐に代わり、ガンダム擁する連邦の戦艦ホワイトベースの前に立ちふさがったのが、ジオンの歴戦の猛者ランバ・ラル大尉率いる部隊だった。
ザクをはじめとするモビルスーツは、基本的には無重力の宇宙空間での運用が想定された人型兵器であり、当初は大気圏内の重力下では十分な性能を発揮できなかった。
緒戦で優勢だったジオンが、地球圏内に本拠を置く連邦を攻めあぐねた原因もそこにあった。
地上での白兵戦用にザクを改良強化した新型モビルスーツがグフだったのだ。
搭乗するランバ・ラル大尉は、若き天才タイプのシャアとはまた違った、叩き上げの武人の趣のあるキャラクターで、ホワイトベースの面々を苦しめた。
モビルスーツの操縦技術というよりは、戦線全体を俯瞰した戦略・戦術に長けたタイプで、グフを撃破された後の方がかえってホワイトベースを追い込んだりしている。
実はジオンの名門ラル家の御曹司なのだが、ザビ家の支配体制が確立した後は冷や飯を食わされていることがうかがわれる苦労人でもある。
敵に回すと手強く、味方にするとこれほど頼もしい者はないであろう軍人の鑑のような人物で、さばけた親分肌は部下によく慕われていた。
ガンダムの登場人物の中で「上司にしたいキャラ」の人気投票をしたら、かなり上位に食い込むのではないだろうか。
アニメを観ていた当時、子供心に「ランバ・ラルの部隊は楽しそうやな」と思ったことを覚えている。
(あ、でもたぶん今の俺はランバ・ラルより年くってしもとるな……)
●1/144改良強化新型グフ
キットはガンプラでも初期発売の部類に入り、定価300円。
箱に表記してある名称通り、先行するザクのプラモからかなり改良強化されている。
足首が可動するようになり、肩アーマーは大型化、左手にはマシンガン、右手には電磁鞭ヒートロッドが仕込まれ、地上での格闘戦に特化した姿がよく再現されている。
ランバ・ラルの名セリフ「ザクとはちがうのだよ、ザクとは!」をそのまま形にしたような、初期ガンプラの名作の一つだと思う。
別売「ドダイ」付属の股関節パーツを使うと、開脚も可能になる。
●1/144 ドダイ
形状はあまりいじらず、丁寧に作り、丁寧に塗ることが旧キット趣味の醍醐味だと考えているけれども、今回はほんの少しだけ改造した。
まず動力パイプ類が少し細いと感じたので、スプリングに通して一回り太くしてある。
これはガンプラブーム当時ザク系のプラモで流行った改造法なのだが、やりたいやりたいと思いながら、子供なのでできなかった。
長い時を経てようやくできた!
次に、素組みでちょっとなで肩だと感じたので、肩の取り付け位置を「やや上、やや後ろ」にずらした。
頭部動力パイプを太くし、やや怒り肩にすることで、グフの特徴である「首が胴体に埋まった印象」を付加する効果もある。
あとは、肩アーマーの湾曲した棘の先っちょを尖らせ、背部ランドセルをやや上に移動させ、シールド内に「武器セット」からとったヒートサーベルを収納させ、左手指先のマシンガンの銃口をピンバイスで開けてある。
このあたりはまあ、「改造」というよりは「基本工作」の延長という感じだ。
右手に装着したヒートロッドは、スプリング内にアルミ線を通してあるので曲げ伸ばしもできる。
これは懐かしマンガ「プラモ狂四郎」で、ライバル山根が1/100グフに施した改造を少し参考にしている。
塗りはいつものごとく、つや消しブラックからのアクリルガッシュ筆塗り。
作中での活躍が砂漠地帯だったので、足元を中心にサンド系の色で汚しを入れている。
ザクとの比較。
「ザクとはちがうのだよ、ザクとは!」
アニメに登場したザク系MSのそろい踏み。
これぞ、ジオン驚異のメカニズム!
ちなみに、以前紹介した安彦良和のマンガ「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」では、若き日のランバ・ラルが主役級で活躍する「前日譚」が描かれている。
ザビ家とラル家の因縁、セイラ(アルテイシア)とランバ・ラルの関り、妻(愛人?)ハモンとのなれそめ、ドズルが主導し、ランバ・ラル、黒い三連星も協力したジオンのモビルスーツ開発史など、見どころは極めて多い。
こちらもファン必見である!
今月のガンプラ作例週間はここまで。
続きはまた来月!