そろそろ一回記事にしておこう。
今年のNHK大河「おんな城主 直虎」のことである。
去年の「真田丸」が面白過ぎたこともあり、実は始まる前はちょっと不安視していた。
事跡がほとんど残っていない人物で、しかも基本設定の「女城主」ということも確定した史実とは言えないのに、果たして一年の長丁場をもたせられるのか、心配だったのだ。
ところがふたを開けてみればかなり面白い。
近年の大河では異例なほど丁寧に描かれた子役三人がまず素晴らしかったし、成長後の次郎法師、直親、政次の三人も熱演中だ。
とくに小野政次役の高橋一生の演技は、毎回緊張感をもって注視している。
主役の直虎はじめ、キャストは全体にはっきりわかりやすい演技になっている中、政次とその父・小野政直だけが「影」をもつ抑えた演出になっており、対比が鮮やかだ。
父が政次に遺した「お前も必ず同じことをする」という予言めいた一言は、果たして呪縛か解放か?
先行きに目が離せないのである。
内容的には、派手な合戦シーンこそ少ないものの、統治や経済の在り方がけっこう取り上げられているのが面白い。
今川仮名目録が周辺の国にも影響を与えている様や、寺社の権限、金融業の発達、物流、労働力の調達など、興味深いテーマがちゃんとストーリーと絡めて描かれている。
軍記ものでは「華」とされるいくさが、実際には政治や外交の一つの結果に過ぎないことが、ドラマとして伝わってくる。
個人的には、民族音楽やスライドギターを多用した音楽も面白い。
第16回「綿毛の案」では、噂話を流すシーンで、今でいうラップみたいな盛り上がりを見せたところがあった。
あれは「祭文語り」等の放浪芸を元にしているのではないかと思うが、今の私の好みにドンピシャだ。
音楽や芸能指導をしている人のセンスがとても良いと思う。
視聴率的にはやっぱり振るわないようだが、それは観ないやつが悪い!
今更有名どころの戦国武将や合戦シーンばかり求めるのがアホ!
スタッフ、キャストには、ぜひこのままの姿勢で頑張ってほしい!