2017年05月08日
「落人伝説の里」松永伍一(基本情報のみの覚書)
●「落人伝説の里」松永伍一(角川選書139)
昭和五十七年十月十日 初版発行
【表紙紹介文】
伝説の多くは、文字で記録されなかった事象が、時の経過のなかでかたちを変え、「事実」として言いつがれ、変生したもの、でもあろう。筆者は、そういう「変生した歴史」としての伝説を生み、今なおそれを息づかせる土地を各々に訪ね、時間を遡り、土地人の祈願と意識、さらに長い幻想の本源をたどっていく―― 有形無形の「日本」が失われつつあるなかで試みられた、貴重な歴史探訪というべき一冊である。
【目次】
序章 人はなぜ貴種を伝説化するか
一の章 義経北上譚
二の章 硫黄島の老帝
三の章 高麗郷の若光
四の章 現夢童子の谷 檜枝岐
五の章 落折の洞窟
六の章 秋山郷の野仏
七の章 祖谷の赤旗
八の章 み吉野の鮎
九の章 能登の揚げ羽蝶
十の章 湯西川の平家観光
十一の章 椎葉の山唄
十二の章 近江山中の皇子 君ヶ畑など
十三の章 哀韻の麦屋節 五箇山
十四の章 椿と墓の幻想 五木村
十五の章 変わりゆく秘境・五家荘
十六の章 平維盛の流亡 熊野
十七の章 伊那の宗良親王
【著者:松永伍一】
昭和五年、福岡県生まれ。同二四年、八女高等学校を卒業。
農業に携り、教師をつとめつつ、同人誌「母音」に、主として詩を発表。
三二年、上京。「割礼」「ムッソリーニの脳」等の詩集のほか、「日本農民詩史」全五巻、毎日出版文化賞特別賞受賞。「底辺の美学」「一揆論」、さらに「松永伍一著作集」全六巻など、多くの著書がある。