アニメ作中でもこのMSが水陸両用一番手だったと思う。
本来MSは無重力空間での運用を想定した兵器で、ジオンが宇宙空間での緒戦で戦果を挙げたザクも、重力下では十分な性能を発揮できなかった。
地球圏での運動性能を改良したのがグフであり、ドムであったのだ。
地球連邦の司令部はアマゾン川流域のジャブローの地下基地に置かれ、攻めあぐねたジオンは、この環境に特化した一連の水陸両用MSシリーズを開発、実践投入した。
ガンダムを擁するホワイトベース部隊もジャブローの防戦に駆り出されるが、ジャングルでの戦闘専用に開発されたジオンの数々のMS、MAに、苦戦を強いられる。
例によってこの旧キットも、タイミングさえ良ければ昔と同じ400円で購入可能。
プレミア価格で買うようなプラモではない。
●1/144 ジオン軍水陸両用重モビルスーツ MSM-03 ゴッグ
箱を開けた途端、目に飛び込んでくるのは、前後に見事に唐竹割りになったゴッグのボディパーツだ。
頭の先っちょから胴体、肩アーマーまでが一続きになって、裏表の2パーツ。
まさにモナカキットである。
旧キットはどれもモナカ構造なのだが、とくに水陸両用MSシリーズはモナカ度合いが強い。
形状は大河原邦男の設定画そのものだが、アニメ作中の印象とは少しずれる。
ゴッグの設定画に二種類あったことは古参のガンプラファンには周知のことだと思うが、一応書いておくとアニメの印象に近いのは安彦良和の手による設定画の方なのだ。
このキットはモノアイレールの両端が丸くなっていたり、頭部がやや大きかったり、手が短かったりで、プロポーション的に「可愛らしい」印象が強い。
しかしまあ、いじり出すとキリがないので、今回も素組を基本に、とにかく塗って完成させてみる。
組んでみると、腕が入れ子構造になっていて伸縮出来たり、手首がボールジョイントになっていたりして、結構工夫が凝らされているのが分かる。
成型色は黄土色。
指定色の面積としては濃い茶色の方が多いが、塗装前提なのでこちらの方がありがたい。
暗い成型色の上に明るい色を塗ると、ムラになったり塗膜が厚くなったりしやすいのだ。
唐竹割りのボディパーツの合いが悪かったので、肩アーマーだけは一度切り離して接着し直す。
その時、微妙に「上、後ろ」にずらして接着することで、ほんの少しだけ腕を長く見せ、頭部が埋まり込んだように見せる効果が得られる。
この程度は「改造」と言うよりは、基本工作の範囲内だろう。
塗装もいつも通り、つや消しブラックを全体に吹き付けた後、アクリルガッシュで筆跡を残しながら、彩度を落として塗り分け、極細油性ペン等も使って仕上げている。
見本にしたのは大河原邦男による劇場版第二作のポスターで、真っ赤なシャア専用ズゴックが真ん中で四本爪をかざしている例の一枚だ。
構造は工夫されているものの、可動範囲はあってないようなキットなので、しっかり塗って素立の見栄えを目指すのが正解だろう。
スタイルや可動を求めるなら、HGUC版がある。
●HGUC 1/144 MSM-03 ゴッグ
とくにゴッグは初期のHGUCなので、価格も安くて良いプラモだ。
そして意外と素晴らしいのが1/100の旧キットだ。
●1/100 MSM-03 ゴッグ
こちらは安彦良和の設定画の雰囲気がよく再現されていて、可動も色分けも旧キットにしては出来過ぎていると評判だ。
私の年代はガンプラブーム当時小学生だったので、値段の高い(と言っても1000円以下なのだが)1/100スケールには中々手が出せなかった。
おれと同年代のおっさん達よ、あの頃買えなかった1/100は、実はけっこうイケてたらしいぜ(笑)
子供の頃の思い出に、何かやり残したことはないか?
千円でおつりがくるから、今こそもう一回プラモ屋に走ってみないか?
(水陸両用MS、続く)