先の11月中、近場で何度か紅葉狩りに出かけられたのはありがたかった。
秋の色彩をどう描けばいいかということは、もうずっと長く考えてきた。
このところ、少しだけ分かってきた気がする。
秋と言えば紅葉、やっぱり「赤」や「黄色」のイメージが強いが、それだけでは秋にならない。
空の青、常緑樹の緑、それもあった上での、赤や黄色なのだ。
そして、午後の傾いた陽光に透過される、逆光の中での色彩だ。
と、ここまでは以前から感じていた。
最近なんとなくつかめてきたのは、これは秋の色彩に限らず風景画全般に言えることだが、どうやら描き過ぎは良くないということだ。
「よく観て描く」
これは絵の基本中の基本だ。
絵描きはものをよく観るし、ついつい観えるもの全部を描きたくなる。
しかし、実際の風景には情報量が多過ぎて、そのままでは絵にならない。
美しい風景に出会ったとき、ただシャッターを切っただけでは、その時感じた風景とは全く違うものが写真に映る。
人間に感覚は、実際の風景をかなり「編集」して認識している。
微に入り細を穿って描けば描くほど、「実物」には似るが、「脳内で編集され、美しいと感じた像」からは、遠ざかることもあるのだ。
風景の場合、「いかに描かないか」という、引き算の感覚も必要だ。
そう言えば、むかし造園イラストのバイトをやっていた時、師匠にもそのような指導を受けた気がする。
身に染みて意味が分かってくるのに、二十年かかってしまった(苦笑)
ちょっとまた、水墨画や日本画の画集を引っ張り出してみよう。
絵本も良さそうだ。