79年の初代「機動戦士ガンダム」放映からそろそろ40年経とうとしている中、これまで制作された「ガンダム」を冠する全作品の人気投票が、NHKのBS特番企画であるという。
全ガンダム大投票40th
投票期間:3月2日(金)〜4月20日(金)
●アニメ作品1作品のみ
●モビルスーツ3機まで
●キャラクター5キャラまで
●ソング2曲まで
正直、集計結果にあまり興味はないし、5月の特番本番もたぶん視ないと思う。
それでも、「自分なりに考え、ルールの枠内で投票する」ということ自体には、非常に意欲が湧く。
おっさんになって多少は広くなった視野で、子ども時代から思春期にかけて大好きだったガンダムについて、あれこれ考える楽しみを、味わいたいのだ。
まずはアニメ作品たった一つを選ぶ。
先の公式サイトの「全ガンダム」の作品リストを見て、しばし呆然とする。
こんないっぱいあったのか……
ぜんぜん知らない作品も多い。
40年の歴史の中で、今や私が知っているガンダムは「ほんの一部」になってしまっていた(笑)
私は私の知る範囲内から選ぶしかないので、鑑賞経験のある作品を以下にリストアップしてみる。
1、TV版「機動戦士ガンダム」
2、劇場版「機動戦士ガンダムT」
3、劇場版「機動戦士ガンダムU 哀・戦士編」
4、劇場版「機動戦士ガンダムV めぐりあい宇宙編」
5、TV版「機動戦士Zガンダム」
6、TV版「機動戦士ガンダムZZ」
7、劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」
8、TV版「∀ガンダム」
9、TV版「動戦士ガンダム ユニコーン RE:0096」
全56作中、たった9作品!
なんや、おれって全然ガノタちゃうやん!
ちょっとショック!
……気を取り直して投票行動を。
【アニメ作品1作品のみ】
子どもの頃、空前のガンプラブームと同時進行でハマり切っていたのは、やはり1〜4の「ファーストガンダム」だ。
そしてこの中からだと、やはり原典中の原典、1のTV版を選びたくなる。
作り手にも時代背景にも恵まれ、放映時は不人気で、何度も路線変更の末打ち切りになったことすら、全て作品にとってはプラスに作用した。
危ういバランスの上に成立した、奇跡のような作品で、やっぱり「別格」だ。
しかし、である。
今回投票できるのは一作品のみ。
そこにファーストガンダムを選んでしまうと、私がガンダムに抱いている様々な感情のニュアンスが、全部白飛びしてしまうような気がする。
投票を私の「思い」の表現行為とするならば、せめて三作品投票させてほしい所だが、今回はそういうルールなので仕方がない。
苦肉の策として、1〜4のファーストガンダムは私の脳内で「殿堂入り」とし、残る5作品の中から選ぶことにする。
ファーストを除外するなら、「Z」に対する感情が最も強い。
単純に「良い作品」とか「好きだった」と言うことは出来ない。
率直に言えば、初代の重圧に押しつぶされ、迷走してしまった作品だと思う。
しかし放映時、思春期に入っていた私は、ある意味「歪」なこの作品に、さんざん失望しつつも目を離せなかった。
ガンダムってなんだ?
作品ってなんだ?
そんな青臭い問いを、中二病真っ盛りの私は飽くことなく自問し続けたのだった。
ということで、作品は「Z」に投票。
【モビルスーツ3機まで】
これも選べる数が少なすぎる!
三機だと、私が普通に考えたら「ガンダム、量産型ザク、シャア専用ザク」以外に選びようがない。
これでは私の感情の機微を表現できないので、ここもやはりファーストの三機は「殿堂入り」扱いで、それ以外から選んでみる。
そもそも「ガンダム」って何だったのか?
デザイン的な視点からそんな根本的な問いかけをしてみた時、選びたくなるのは以下の三機だった。
●Zガンダム
偉大過ぎる初代ガンダムの重圧を受け、変形機能の制約まで背負わされ、それでもこれだけカッコよく神秘的なデザインを作り上げた偉業!
●νガンダム
洗練された飛行形態へ変形するZ、力感溢れる合体変形のZZから、一転して原点回帰。
シンプルで「これぞガンダム」というデザインが素晴らしい!
●∀ガンダム
ガンダムのデザインとは何か?
立体物になるとものすごくハイレベルなのがよく分かるのに、二十年近く経ったいまだに消化しきれない「未来系」のデザイン!
【キャラクター5人まで】
これもシャアとアムロはとりあえず「殿堂入り」で除外し、それ以外から選んでみる。
●ジオン・ズム・ダイクン
ファーストではほとんど名前しか出てこなかった、シャアの父で、近年「ORIGIN」で初めて詳細が語られた。
スペースコロニー独立運動のカリスマ的な指導者で、シャアは本来ならその後継者になるべき「神童」だった。
しかしザビ家に両親を謀殺されたことにより、復讐の念でシャアの精神は傷つき、歪む。
ガンダムの物語は、ある意味シャアの心の傷、狂気が牽引しているのだが、それは父の死に淵源がある。
●ブライト・ノア
ガンダムのストーリーの骨格は、シャアの狂気と、それに対するアムロのリアクションだが、二人の主人公は「普通ではない」人物だ。
作品には「普通の人」の視点が絶対的に必要で、ファースト〜Z〜ZZ〜逆シャアを通じて登場したブライトさんは、その代表だ。
はるかに時が流れて「ユニコーン」で再会した時も、ブライトさんはやっぱりブライトさんだった。
●ララァ・スン
ガンダムにはフラウやセイラなど、ヒロイン的な女性が何人か登場するが、物語の根幹にまで食い込んだのはやはりララァではないかと思う。
ファースト以降の作品でも、「強化人間」として登場する悲劇的な数々の女性キャラには、どこかララァの面影があった。
●ミライ・ヤシマ
子供の頃、ミライさんがやたらモテるのが謎だった。
セイラのような美少女ではなく、フラウのような可愛い女の子タイプでもない。
マチルダさんのような分かりやすい美女でもない。
おっさんになった今は、もちろんその魅力がわかる(笑)
ファースト作中で、ホワイトベースの搭乗員に「身内」の雰囲気が漂っているのは、ミライさんの存在があったからだ。
ファーストとそれ以降の作品で一番違うのは、実は「ミライさんの不在」かもしれない。
●ランバ・ラル
華々しいエースパイロットの活躍ではない、地べたを這いずるような一般兵士の戦場描写があるのも、ガンダムの魅力の一つだ。
そんな泥臭い戦場を代表するキャラは、ランバ・ラルではないかと思う。
以前、旧キット・グフの製作記事でも、この人物については紹介したことがある。
【ソング2曲まで】
ファーストのTV版主題歌「翔べ!ガンダム」が、如何に作品の内容と無関係であったかは、以前記事にしたことがある。
連邦のプロパガンダ?
ロボットアニメの主題歌としてはまことにオーソドックスでよくできた曲だったが、「リアルロボット」の新地平を切り開いたガンダムという作品には、まったくミスマッチだった。
内容に相応しい主題歌が制作されたのは、劇場版三部作からのことだった。
ということで、「ガンダムV めぐりあい宇宙」から一曲選曲。
●めぐりあい
ファーストの劇場版三部作完結から三年、待ちに待った続編「Z」は、素晴らしくカッコよく、壮大な主題歌と共に始まった。
その後、私が味わうことになった葛藤と共に、強く記憶に残った主題歌を、二曲目として選んでおきたい。
●Z・刻をこえて
この二曲、カラオケの持ち歌でもある(笑)
投票、楽しかった!
ガンダムに思い入れのある人で、まだ未投票の人は是非!