2018年06月29日

80年代リアルロボットプラモ ボックスアートの世界

 80年代前半は、リアルロボットアニメの盛り上がりとともに、プラモが質・量ともに爆発的な進化を遂げた時期でもあった。
 商業的な上り調子にあるジャンルには才能も結集するので、この時期のプラモの箱を飾る「ボックスアート」には、多くの傑作が描かれた。
 ブームの口火を切ったガンプラの場合、80〜82年のノーマルシリーズはわりとオーソドックスなアニメプラモの箱絵の範疇にあった。
 ブーム後期発売の1/100リアルタイプシリーズから、アニメの世界から一歩踏み出したリアル志向、ミリタリー趣味の箱絵が現れ始めた。
 シリーズ丸ごとミリタリーモデル的な絵柄が箱を飾るようになったのは、ガンプラブームと同時進行で発売されていた「太陽の牙ダグラム」シリーズからだったと記憶している。
 82年になると、「超時空要塞マクロス」「戦闘メカ・ザブングル」のシリーズも、ミリタリー趣味の箱絵で統一された。
 そしてリアルロボットアニメの制作点数がピークに上り詰める83〜84年には、発売されるプラモの大半がリアルな絵柄で占められるようになった。

 私見では、リアルロボットプラモの箱絵が最も盛り上がっていた時期は82〜83年あたりではないかと思う。
 中でも突出してハイレベルだった三シリーズを、メインイラストレーターとともに書き出してみよう。

●「超時空要塞マクロス」高荷義之
●「ガンダムMSV」石橋謙一
●「聖戦士ダンバイン」開田裕治

 これらのシリーズは、メインイラストレーターだけでなく、もうどの箱絵をとってみてもそれだけで買いたくなるような傑作ぞろいだった。
 高荷義之は挿絵やミリタリーモデルの箱絵、石橋謙一は航空機模型の箱絵、そして開田裕治はSFや怪獣イラストなどの得意分野を持っており、それぞれの持ち味を生かした作風でロボットプラモの新境地に挑んでいた。

 マクロスやMSVの場合、中身も先行するガンプラより技術的な進化が見えて満足度が高かった。
 私の独断で両シリーズの箱絵の傑作を上げるとすれば、以下のもの。


●1/5000マクロス強攻型
●1/144 MS-06R ザクU

 ちょっと残念だったのがダンバインのシリーズで、箱絵の華麗でファンタジックな世界観に、中身のプラモが追い付けていなかった。
 今あらためて組んでみると、異世界メカの先例のない立体物としてはかなり頑張っているのが分かる。
 二重関節の多用で当時のプラモとしては可動範囲が広いし、三本爪で支える足首は見た目以上に安定感がある。
 極上の箱絵との落差で損をしてしまっている印象だ。
 どの絵も素晴らしいのだが、後半主役メカ・ビルバインの1/48のボックスアートは、往年のプラモ少年の記憶の中に「超傑作」として刻み込まれているはずだ。


●1/48 ビルバイン

 同じ開田イラストでは、ロボットプラモではないが同時期の怪獣プラモシリーズ「The特撮Collection」が素晴らしかった。


●1/350ImageScale メカゴジラ The特撮Collection 


 MSVとダンバインの両シリーズは初めからバンダイのプラモなので、待っていれば今でも再販は望める。
 とくにMSVシリーズは再販頻度も高い。
 ダンバインの方は金型の管理状況の問題か、一部再版されないアイテムもあるようだ。
 それにしても発売から三十年以上経った今、メインイラストレーターの石橋謙一、開田裕治の画集を求めなくても、現役プラモのボックスアートとして楽しみ、作る時の参考にすることができるのは、素晴らしいことだ。

 マクロスシリーズの高荷義之の箱絵は少し事情が異なり、箱絵まで当時そのままのプラモの再販はほとんど望めない。
 あの迫力のある箱絵のシリーズが現役プラモではないのは、なんとももったいないことだ。
 私の手元には、マクロスシリーズの箱絵を始め、当時の高荷イラストの多くが収録された以下の画集がある。


●「ロマンアルバム別冊 高荷義之アニメ・イラスト集」
 マクロス、ダンバイン、ガンダム、ザブングルに関する大量のカラーイラストを収録し、インタビューや対談も充実した夢のような一冊。
 多分現在入手困難だと思うが、私は一年ほど前、近所の中古屋の100均ワゴンセールで発見。
 一瞬目を疑ったが、プロボクサーのジャブ並みのスピードで確保した(笑)

 高荷義之画集の類で今求めやすいのは以下のものか。


 

 高荷、石橋、開田の御三方は、私にとってはボックスアート界不動の「ビッグスリー」だ。
 筆使いを活かした絵柄は、CG全盛の今、あらためて凄みを感じる。
 大河原邦男を含め、当時から私は筆跡で魅せる絵柄が好きで、その延長線上で生ョ範義ファンになったところがある。

 80年代前半、こんな豪華で贅沢な箱絵のプラモの数々が、切れ目なく発売される時代にリアルタイムで居合わせて、本当に幸運だったと思う。

 当時を回顧しながら、旧キットを80年代風味で塗った作例は、以下に。

 プラモ・フィギュア作例まとめ

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posted by 九郎 at 21:52| Comment(0) | サブカルチャー | 更新情報をチェックする

2018年06月30日

極私的80年代旧キット購入の掟

 子供時代、80年代前半のリアルロボットアニメ、プラモブームにちょうど居合わせ、どっぷりハマった。
 その後、私はぼちぼち作品対象年齢から外れ、80年代後半になるとブーム自体が失速したこともあり、プラモ制作からも長らく離れることになった。

 極私的80年代リアルロボットアニメ年表
 リアルロボットアニメの対象年齢

 それでもなんとなく心の底でくすぶっているものはあり、90年代以降も模型誌を開いてみたり、模型店で新製品の動向をチェックすることだけは続けていた。
 ごくまれに、現行MGやHGUCのいくつかを買ってみて、素組みしてみることはあった。
 そのまま組み立てるだけで色分けがほぼ完了しており、ポージングも自在の新製品を眺め、技術革新に感嘆しながらも、どこか空虚なものを感じていた。

 確かに凄い。
 子供の頃、夢に見ていたカッコよくてよく動くプラモが、ついに手に入ってしまった。
 しかし……
 これ、俺だけじゃなく、誰が作ってもこうなんだな……

 結局、私の心が求めているのは「カッコよくて良く動く完成品」ではなかったのだ。
 80年代のあの頃、なかなか思い描くようにはプラモを作り切れなかった。
 小学生時代はお小遣いが限られていたし、工作技術や塗装技術も全くなかった。
 中学生になると技術は多少進歩したものの、思い描く理想には程遠く、また勉強の方も忙しくなって、一つ一つのプラモを完成まで持っていくことが難しくなった。
 心の底でくすぶっていたのは「あの頃のやり残し」であり、欲しかったのは「プラモを納得できるよう完成できる自分」だったのだ。

 時を経て、私は絵描きのハシクレになり、広く浅くではあるけれども様々な工作技術を体験してきた。
 長らくプラモは作ってこなかったが、素組み(+αの小改造)の枠内を守る限り、旧キットを自分なりに納得できるレベルで塗って完成できるようにはなっていたのだ。
 そして、昔のプラモを一つ一つ完成させることで、自分の中の育ち切れなかった半端な自分を、自己治癒できるらしいことに気付いたのが二年ほど前。
 それ以来、仕事や作品制作の合間に、旧キットをぼちぼち作り続けている。

 旧キット、素組み、アクリルガッシュ筆塗り

     *    *    *

 プラモを購入する時、自分なりの「掟」は守ることにしている。
 コレクションではなく、買ったらあくまで作って完成させることを前提とする。
 中古品は「箱つぶれ」でも安いなら全然OK。
 一部パーツ欠けなどのジャンク品でも、無理なく完成させられそうならOK。
 一期一会を大切にし、作るのにプレッシャーを感じるようなプレミア品には手を出さない。
 以上の「掟」を遵守するための、各シリーズの再販や中古相場の大体の目安をまとめておこう。
 

★ガンプラ
 他のどのシリーズよりも全般に再販が望みやすく、基本的に価格も発売当時のまま据え置き。
●ノーマルシリーズ
 MSであれば、とくにコレクションサイズの1/144は、再販頻度が高い。
 それ以外のスケールやMA、支援メカ、戦艦等も、頻度は低いが待っていれば再販は望める。
 ノーマルシリーズのガンプララインナップについては、過去記事で詳しくまとめたことがある。
 ブーム当時のガンプラ
●MSV
 1/144、1/100のMSVは、ノーマルシリーズ同様、再販頻度は高い。
●ゼータ
 それなりに再版されている。
●ダブルゼータ
●センチネル
●逆シャア
 これらのシリーズは、頻度は多少低くなるが、再販は望める。

 ガンダム以外の作品でも、バンダイから出ていたシリーズは、頻度は低いが再販はされている。
★ザブングル
★バイファム
★ダンバイン
★エルガイム
★レイズナー
★ドラグナー
 さすがに価格は当時のままとはいかず、多少の割増になるケースがあるようだ。
 また、金型の管理状況の問題からか、一部再版されないアイテムもある模様。


 問題は「非ガンダム、非バンダイ」の旧キットシリーズだ。
 基本的に再版は望めず、極めて低い頻度で再版されたとしても、価格は大幅に上がるケースが多い。
 当時品を

★イデオン
 初期ガンプラブームと同時発売だったので生産数がかなり多かったらしく、探せば当時品でもさほど高価でなく求めることが可能。
 とくに敵メカは中古価格がかなり安い。
★ダグラム
★マクロス(現在、再販はバンダイから)
★ボトムズ
 これらのシリーズは、当時品または過去の再販品で、価格二倍程度なら買いか。
 三倍以上になると、よほど旧キットに思い入れのある人以外は、素直に内容が飛躍的に改善された現行キットを買う方が良いと思う。
★モスピーダシリーズ
 つい最近再販があった。今がチャンス!


 旧キット制作は、基本的に数百円から千円二千円程度のプラモを、時間をかけてちまちま作り上げ、塗り上げる、安上がりの趣味だ。
 私の場合は中高生の頃からの未完成癖を矯正する、心のリハビリのような気分で取り組んでいる。
 これからも、無理のない範囲でぼちぼち行きます。

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posted by 九郎 at 23:42| Comment(0) | サブカルチャー | 更新情報をチェックする